103万の壁→150万の壁になる? ~配偶者特別控除における配偶者収入の上限が変わります~
平成29年3月27日、平成29年度税制改正法案が成立し、
31日に政省令とともに公布されました。
原則、4月1日より施行となります。
今回は、注目を集めていた配偶者控除の改正内容についてご説明します。
※この改正は平成30年分以降の所得について適用されます。
1.現行(平成29年分まで)の配偶者控除
納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合には、
一定の金額の所得控除が受けられます。
控除対象配偶者とは、その年の12月31日の現況で、
次の四つの要件の全てに当てはまる人です。
(1)民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません。)。
(2)納税者と生計を一にしていること。
(3)年間の合計所得金額が38万円以下であること。
(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
(4)青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと
又は白色申告者の事業専従者でないこと。
2.現行(平成29年分まで)の配偶者特別控除
配偶者に38万円を超える所得があるため配偶者控除の適用が受けられないときでも、
配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられる場合があります。
これを配偶者特別控除といいます。
配偶者特別控除を受けるための要件は以下のとおりです。
(1)控除を受ける人のその年における合計所得金額が1千万円以下であること。
(2)配偶者が、次の五つの要件全てに当てはまること。
イ.民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)。
ロ.控除を受ける人と生計を一にしていること。
ハ.その年に青色申告者の事業専従者としての給与の支払を受けていないこと
又は白色申告者の事業専従者でないこと。
ニ.他の人の扶養親族となっていないこと。
ホ.年間の合計所得金額が38万円超76万円未満であること。
3.改正後(平成30年分以降)の配偶者控除
改正により、納税者の所得要件が導入されます。
(1) 納税者の所得が900万円以下、かつ、配偶者の合計所得が38万円以下 …38万円
(2) 納税者の所得が900万円超950万円以下、かつ、配偶者の合計所得が38万円以下…26万円
(3) 納税者の所得が950万円超1,000万円以下、かつ、配偶者の合計所得が38万円以下…13万円
4.改正後(平成30年分以降)の配偶者特別控除
改正により、配偶者の所得上限が引き上げられますが、
納税者の所得により段階的に控除額が変動します。
例えば、納税者の所得が900万円以下の場合、改正前は、
配偶者の年間の合計所得が76万円以上(給与所得のみの場合141万円以上)となると
配偶者特別控除が受けられませんでしたが、改正後は配偶者の年間の合計所得が
85万円以下(同150万円以下)まで38万円の控除が受けられ、
配偶者特別控除が受けられる配偶者の年間の合計所得の上限は
123万円以下(同201万円以下)となります。
なお、改正前は、納税者の所得については一律に1,000万円以下という制限のみでしたが、
改正後は、
(1) 900万円以下
(2) 900万円超950万円以下
(3) 950万円超1,000万円以下
の3段階に区分され、 (2)は(1)の2/3、(3)は(1)の1/3の控除額となります。
ちなみに、給与所得150万円というのは、安倍内閣が目指す最低賃金1,000円/時間で、
1日6時間、週5日働いた場合の年収を上回る水準に設定されているそうです。
5.留意点
上記の通り、所得税法上の配偶者(特別)控除の所得上限は引き上げられますが、
納税者の勤務先における扶養手当の支給基準や、
納税者が加入する健康保険組合における扶養基準などとは
相違する可能性がありますので、確認する必要があります。
投稿日:2017/4/17
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