ミャンマーにおける2017年度税制改正のポイント

概要

2017年年明けから、税制改正について当局からアナウンスが次々出されています。これまで曖昧だった源泉徴収について、一部税率の変更や規定の新設もあります。商業税については、免税点の引き上げが行われます。今回は、その内容や留意点について解説します。

 

2017年年明けから、税制改正について当局からアナウンスが次々出されています。これまで曖昧だった源泉徴収について、一部税率の変更や規定の新設もあります。商業税については、免税点の引き上げが行われます。
煩雑な手続きと事務コストがかかる源泉徴収の制度について徹底が図られるということは、納税者にとってさらに事務負担も多くなりそうです。税務署側における納税者の納税状況の管理状態はよいとはいえないため、納税書類などはきちんと自社で整理して決算書類と整合性を持たせることが重要です。また、決算書において自社が源泉徴収された税金や、商業税において仕入れ税額控除を行う金額の計上処理などに注意が必要です。
 
1.源泉所得税関連
ミャンマー計画・財務省(MOPF)2017年1月10日の告示(2号/2017)
同年4月1日より適用。
 
(1)利息
前告示(41号/2010)においては、利息にかかる源泉徴収について明確性に乏しかったが、改正においては、非居住者関連の貯蓄や貸し付け、貸し付けに類似する取引に対する利息について15%の源泉徴収を行うことを明確化。
 
(2)ロイヤリティー
居住者に対するロイヤリティーの支払いについては15%→10%、非居住者に対する支払いについては20%→15%にそれぞれ引き下げ。
 
(3)物品の販売やサービスに対する源泉徴収
居住者については、引き続き2%の源泉徴収、非居住者に対する源泉徴収について3.5%→2.5%に引き下げ。
 
(4)リース取引(新設)
国内におけるリース取引については2%、非居住者に対するリース支払いについては2.5%とする。
 
(5)源泉徴収する取引単位
取引先ごとに50万チャット以上のものに適用される。年間を通しての取引額が50万チャット以上となった場合には、源泉徴収を行わなければならない。その場合はトータルの支払いに関するリストを当局に報告することとなる。
 
(6)租税条約について
租税条約締結国との取引については、各締結国の当局が発行する証明の提出により、租税条約による税率の適用を行うことができる。これまで、租税条約の適用に関し、ヤンゴンの中規模納税者税務署(MTO)では対応困難でネピドー案件とされることがあったが、改正により手続きが簡素化されるかどうかに注目。
 
(7)法人税の前払いとしての源泉徴収(オフセット関連)
源泉徴収された源泉所得税については、法人税の前払いとして、法人税の申告納付時にオフセットできる。外国企業の支店もオフセット可能。国内に拠点を持たない非居住者である納税義務者については、源泉徴収をもって納税を完結する。
 
2.その他改正速報
2017年4月1日より適用。
 
(1)商業税の免税点の引き上げ
たばこの売り上げなど一部を除き、免税点が引き上げられる(2,000万チャット→5,000万チャット)。
 
(2)小規模事業者の免税
新規開業の小規模事業者(タウンシップの税務署所轄の納税者。個人など)については3年間、利益が1,000万チャットに達するまで免税となる。
 
(3)キャピタルゲインの免税点
資産を売却する場合にその資産の時価が1,000チャットを超えない場合は、キャピタルゲイン課税されない。この場合の時価については、当局に認定される可能性があるため、確認を要する。
 
(M097-0003)
(2017年3月21日作成)
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