特定の目的のために、インターネットを介して不特定多数の人から資金の提供を受ける「クラウドファンディング」という資金調達方法があります。
新しいプロジェクトを立ち上げ、そのプロジェクトを実行するのに必要な目標金額を設定し、そのプロジェクトを見て共感した人たちが資金を提供するのですが、この集めたお金は資金調達した法人の会計上、どのような処理をするのでしょうか?
1.クラウドファンディングの形態について
クラウドファンディングには大きくわけて「寄付型」「購入型」「投資型」の3つの形態があります。
【1】寄付型
資金提供者は、資金を寄付として提供し、何のリターンも発生しません。
【2】購入型
資金提供者は、将来、製品やサービスを受け取るための対価として資金を提供し、その資金を利用して開発された製品やサービスなどをリターンとして受け取ります。
【3】投資型
資金提供者は、プロジェクトの利益から配当というかたちでリターンを受け取ります。
2.集めた資金の会計上の取扱い
1で述べた3形態ですが、上記のうち「投資型」については金融商品取引法の規制対象となっており参入障壁が高く事例も少ないようです。
「寄付型」と「購入型」については原則的に金融商品取引法の規制対象とはなっておらず「投資型」に比べると参入しやすくなっています。
この「寄付型」と「購入型」で資金調達をした場合、下記のように会計処理を行います。
【1】寄付型
寄付型の場合、資金調達者である法人は受け取ったお金を「受贈益」として収益計上します。
ただしクラウドファンディングのプラットホーム手数料やプロジェクト実行のための費用は法人の経費になりますので、実質的にはプロジェクトで集めた資金から実行費かかった費用を差し引いた分にたいして税金がかかることになります。
【2】購入型
購入型の場合、まず将来製品やサービスを受け取るための対価として資金を受取り、その資金を利用して製品やサービスなどを開発します。
そして完成した段階で資金提供者に利用して製品やサービスを提供するため、代金先払いの時と同様の処理をします。
具体的には資金を受け取った時に「前受金」として計上し、製品引渡しやサービス提供時に「前受金」を「売上高」に振替えます。
クラウドファンディングのプラットホーム手数料やプロジェクト実行のための費用は寄付型の場合と同じく法人の経費になります。
3.購入型に見えて、寄付型の場合がある
実際にクラウドファンディングのサイトを見てみると、プロジェクト内容、目標金額、リターンが記載されています。
ただし購入型クラウドファンディングであっても、資金調達額とリターンがアンバランスな場合(10万円調達してリターンは絵葉書1枚という場合など)は寄付型とみなされる場合がありますので注意が必要です。
4.消費税はかかるのか?
購入型は通常の商品売買ですから、資金調達者が課税事業者であれば資金調達額は消費税の課税売上となります。一方、寄附は消費税法上不課税取引ですので、寄附型のクラウドファンディングでは資金調達額についての消費税を考慮する必要はありません。
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