特定支出控除で節税対策

サラリーマンの特定支出控除について

 

先日の新聞で、自らのスキルを磨き、希望の職業人生を模索する「リスキリング時代」との記事を見ました。
急速に進むデジタル化で仕事の進め方が大きく変わると見込まれる中、新たな価値を生み出すスキルを習得することが求められてきています。
そこで、今回はそのリスキリングをする際の費用で所得税を減らせるかもしれない、特定支出控除について解説していきます。

 

サラリーマンでも自営業のように確定申告をすれば経費が控除される制度があるのをご存じでしょうか。
サラリーマンの給与所得は、その年の給与などの収入金額から給与所得控除額を控除して計算します。
しかし、その年の特定支出額の合計が給与所得控除額の2分の1を超えたときには、超過する金額を確定申告することによって給与所得からさらに控除することができ、所得税を減らすことが可能になります。

 

【該当する費用】
1.通勤費:一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出
2.職務上の旅費:勤務する場所を離れて職務を遂行するために直接必要な旅行のために通常必要な支出
3.転居費:転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出
4.研修費:職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出
5.資格取得費:職務に直接必要な資格を取得するための支出(結果として資格を取得できなかった場合も対象)
6.帰宅旅費:単身赴任などの場合で、その者の勤務地または居所と自宅の間の旅行のために必要な支出
7.勤務必要経費:図書費、衣服費、交際費等のうちその者の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者より証明がされたもの

 

【対象者】
給与所得者

 

【適用判定の基準となる金額】
その年の給与所得控除額の2分の1を超えた場合、超えた金額に関して控除を受けられます。

一例を挙げてみます。
・年収500万円、対象の費用を年間150万円支出した場合
所得税214,900円→135,200円 減税額79,700円
・年収300万円、対象の費用を年間80万円支出した場合
所得税78,600円→62,700円 減税額15,900円

 

詳細な給与所得控除額を知りたい方は国税庁のホームページでご確認いただけます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm

 

注意点としては、該当する費用のいずれも給与の支払者が証明したものに限られます。
なお、令和5年度の税制改正で、研修費、資格取得費に関しては給与支払者だけではなく、キャリアコンサルタントが証明できることになりました。
※キャリアコンサルタントとは、職業選択や能力開発に関する相談・助言を行う専門職の国家資格です。

 

【確定申告に必要な書類】
1.給与所得者の特定支出に関する明細書
2.領収書等
3.給与支払者の証明書
4.給与所得の源泉徴収票

 

詳しくはこちらの国税庁のホームページをご覧ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1415.htm

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