減価償却の概要~償却費の計算方法、定率法と定額法の違いについて~
経営者、企業で経理業務を担当している方、あるいは不動産投資を行っている方などは、減価償却という会計処理について押さえておきましょう。
減価償却とは何か、そして償却額を算出する方法として①定額法と②定率法の2つがありますので、それぞれの計算方法についてもここでチェックしておいてください。
減価償却の概要
企業が事業を行ううえで、建物や機械設備、車両といった高額な資産を持つこともあります。これらの資産は長期間にわたって企業活動を支える役割を担いますが、時間の経過とともに劣化するなどしてその価値は徐々に減少していきます。
このような資産を「減価償却資産」と呼びます。
減価償却資産の特徴は、一度取得してすぐに使い切るのではなく、数年ないし数十年にわたり使用し続ける点にあります。
そこで注視しないといけないのが会計上の処理方法です。これらの資産を取得した年の費用として全額計上してしまうと、その年に大きな損失が発生したように見えてしまい、企業の業績を正しく評価することができません。
また、翌年以降は資産を使用しているにもかかわらず費用が発生しないため、収益と費用の対応関係が歪んでしまうという問題も生じるのです。
そこで減価償却資産の取得価額を、その資産が使用できる期間(これを「耐用年数」という。)にわたって分割して、毎年の費用として計上していく方法で会計処理を行います。これを「減価償却」といいます。
減価償却を行うことで、企業は資産の価値減少を適切に費用化し、各期の収益ともうまく対応させることができます。企業の業績もより正確に把握することができ、自社としては健全な経営判断を行いやすくなりますし、他社からしても自社に対する的確な評価を行いやすくなります。
減価償却の計算の基本
毎年の償却費をいくらとするのか、これを算出する方法には大きく2つ、「定額法」と「定率法」が挙げられます。
定額法では次の算式を用い、毎年の償却費が同額となるように耐用年数に応じた償却率が定められます。計算が比較的簡単であるという特徴を持ち、法定の、原則的な償却方法でもあります。
[定額法による償却費 = 取得価額×定額法による償却率]
※耐用年数が10年なら償却率は0.100。耐用年数が5年なら償却率は0.200。
一方の定率法では次の算式を用い、毎年の償却費の割合が同じとなります。結果的に初めの年ほど計上できる金額は大きく、年々減少していくように変化します。そのため早めに節税効果を獲得したいケースで採用すると有利です。
ただし定率法と定額法いずれを選択しても最終的な金額は変わりませんので長期的に見れば大きな差はありません。また、定率法を使う場合には届出が必要となります。
[定率法による償却費 = 未償却残高×定率法による償却率]
※ただし償却費が「償却保証額」未満となってからは、[改定取得価額×改定償却率]の算式を用いる。
定額法を使った減価償却の計算例
各償却方法について、かんたんに計算例を紹介していきます。
まずは計算が単純な定額法からです。
定額法による計算例 |
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・取得価額100万円
・耐用年数10年 ・償却率は「0.100」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_02.pdf
1年目の償却費 = 100万円×0.100 = 10万円
2年目以降も同様で、9年目にいたるまで償却費は同じ10万円となる。ただし10年目も同じ処理を行うと、固定資産を有しているにもかかわらず帳簿上の価額が0円となってしまうため、次のように最後は1円を残す。
10年目の償却費 = 100万円×0.100-1円 = 99,999円 |
定率法を使った減価償却の計算例
次に定率法を使った計算例を見ていきます。
定率法による計算例 |
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・取得価額100万円
・耐用年数10年 ・償却率は「0.200」 ・改定償却率は「0.250」 ・保証率は「0.06552」 ・償却保証額は「65,520円(=100万円×保証率)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_02.pdf
1年目の償却費 = 100万円×0.200 = 20万円 2年目以降の償却費 = (100万円-償却費の合計額)×0.200
ただし、減価償却費が償却保証額65,520円を下回る年からは、採用する算式が[改定取得価額×改定償却率]に変わる。 ※改定取得価額は、償却保証額を下回る前の年における未償却残高。
7年目以降の償却費 = 262,144円×0.250 = 65,536円
また、定額法同様に最後の年は帳簿上の価額を残すため次のように償却費を算出する。
10年目の償却費 = 262,144円×0.250-1円 = 65,535円 |
なお、耐用年数については財産の種別や構造・用途によっても異なります。耐用年数が計算結果に大きく影響しますので、こちらの国税庁HPでも確認しておくと良いでしょう。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf
投稿日:2024/11/22
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