~昨今話題の103万円の壁って?いまさら聞けない所得税のいろは~

今回は、最近ニュースで話題になった103万円の壁とは何かについてご説明いたします。

その前に、まずは収入と所得の違いについて説明する必要があります。

 

・収入
実際にその年に得た金額を言います。給与収入の場合は、勤め先から支給された給与の額面金額になります。

・所得
上記の収入から、必要経費や各種所得控除を引いた金額になります。この所得をもとに、税率をかけて所得税や住民税が計算されます。

これらの前提の上で、103万円の壁とは、給与収入において所得がゼロになる(=税率をかけても税額がゼロのため所得税が発生しない)収入金額になります。

なぜ103万円という中途半端な数字になっているかといいますと、基礎控除(48万円)と給与所得控除(55万円)の合計が103万円になるためです。

 

 

ここで疑問が生まれます。

「103万円を超えたからといって、その超えた金額に税率をかけるだけなら壁じゃなくてせいぜい坂道くらいだろう?」

確かに、ご本人の所得税だけを考えるのであれば、「103万円の壁」ではなく、「103万円の坂」あたりが正しい表現かもしれません。

しかし、この給与収入が103万円以下である・・・というのが、ある控除の要件となっているため、立派な壁となっているのです。

そのある控除とは、扶養控除という控除です。

扶養控除とは、所得税の法律上の控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられるというものです。

控除対象扶養親族とは、その年の12月31日の時点で、下記の4つの要件のすべてに当てはまる16歳以上の人をいいます。

 

(1)配偶者以外の親族または都道府県知事から養育を委託された児童(里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。

(2)納税者と生計を一にしていること。

(3)年間の合計所得金額が48万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)。

(4)青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと。または白色申告者の事業専従者でないこと。

 

これらの要件を満たすと、16歳以上のお子さんがいらっしゃる場合は38万円の所得控除を、その中でも19歳以上23歳未満のお子さん(特定扶養親族)がいらっしゃる場合は63万円の所得控除を受けることができます。

19歳以上23歳未満の扶養親族だけ控除額が大きいのは、大学生等に該当するため、教育費等の負担が大きいと想定されるためと言われております。

例えば、20歳のお子さんがいらっしゃって、ご本人の所得税率が20%である場合は、63万円×20%=126,000円の所得税が減ることになります。

逆に言うと、お子さんのバイト代が103万円を1円超えるだけで、その家族全体での手取り額が126,000円減ることになります。

126,000円というと、ちょっといいロボット掃除機が買えるくらいの金額ですので、かなり大きい壁であると言えるかと思います。

 

 

令和7年度の税制改正により、これらの内容が以下の通り引き上げられる予定です。

・基礎控除が58万円に、給与所得控除が65万円になり、123万円が所得がゼロになる収入上限になります。

・特定扶養親族の給与収入が150万円未満であれば、親は引き続き特定扶養親族控除と同額の63万円の控除を受けることができるようになります。

 

※あくまで所得税における税制改正となりますので、地方税(住民税)等の内容は少し異なります。

 

これ以上細かく書いてしまうと、膨大な量になってしまいますので、さらに深く内容をお知りになりたい方は、ぜひ弊法人までご連絡くださいませ!

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