ミャンマーでの法人設立|進出前に知っておくべきポイントや手続きの概要
ミャンマーは経済発展の伸びしろが大きく、労働力や資源などの面でもビジネスチャンスがある地域と考えられます。
ただ、日本で事業活動を行う場合とは文化やルール、制約などに違いがあるということは進出前に知っておかないといけません。
当記事ではその要点を紹介し、法人設立の手続きなど、概要を紹介しています。
進出前に確認すべきポイント
ミャンマー進出を失敗に終わらせないためには、現地の法制度や規制をまずは把握しなければなりません。
そのうえで、日本とは違う現地の特性も踏まえたビジネスの展開が求められます。
事業の実施可能性
最初にチェックすべきは「取り組み予定の事業内容がミャンマーで実施可能か」という点です。
そもそも民間の事業者がやってはいけないこと、外国企業単独だとやってはいけないこと、などがあります。
たとえば投資法に基づき以下の事業に関しては基本的に実施することができません。
- 国防・保安に係る特定物品(武器や弾薬など)製造
- ウランやトリウムなど放射性金属の研究・生産
- 電力システムの制御 など
また、外国企業に対しては以下の事業が禁止されています。
- ミャンマー語等による定期刊行物の発行と販売
- 淡水での漁業やそれに関連するサービス
- ペットケアサービス
- 中小規模での鉱物の精製
- ツアーガイドサービス など
次のように、ミャンマー国民との合弁企業として活用するのであれば認められる事業内容もあります。
- 魚の水揚げ場所や漁港の建設
- 農業用地での作物の栽培
- プラスチック製品の製造
- 菓子類の製造と国内流通
- 産業化学ガスの製造と流通
- アルコール飲料、ノンアルコール飲料の製造や蒸留、ブレンド など
ほかにも国営企業法に基づいて民間企業の参入が制限(政府に認められた場合は別)される分野もあるなど、さまざまな事業に対して規制がかけられています。
日本貿易振興機構(ジェトロ)のサイトなども参考に、必ず事前にチェックしておきましょう。
許認可取得の必要性
ミャンマーで事業を行う際、許認可の取得にも留意してください。
たとえば外資法に基づく優遇措置を受ける場合には「投資許可申請」が必要となります。
また、日本で建設業や旅行業、人材派遣業など特定の業種を扱う際許認可が必要になるのと同じように、ミャンマーでも「ホテル業」や「観光業」「金融業」に関しては特別法にて所管官庁の許認可が必要とされています。別途申請手続きが発生しますので注意してください。
各種申請に関しては時間がかかります。即日法人設立して活動を始めるということはできないため計画的に準備を進めましょう。
また、営業許可は有効期限が発行から2年間とされていますので、定期的に更新の手続きが必要ということも覚えておきましょう。
経済特区と優遇措置
投資優遇制度として経済特区(SEZ)が設けられています。
経済特区は、外国投資を誘致して経済成長を促進するため、通常より規制が緩和されていたり税制優遇を受けられたりする特定地域のことです。
たとえば「ティラワ(ヤンゴン近郊の中部)」「ダウェー(南部)」「チャウピュー(西部)」が挙げられます。
日系企業が比較的多いのはこのうちのティラワといわれています。
なお、政治情勢によってルールは変わることもあるため、進出前に最新情報を調査しておくことが重要です。
地域の経済的・政治的な特性
ミャンマーは、政治および経済的な変動が大きい国です。
2021年にはクーデターが発生しており、ミャンマー国内各地でデモなども起こっています。
現状、治安情勢が不安定であることは理解のうえ計画を立てる必要があるでしょう。現地の専門家も活用し、法的リスクも事前に評価しておくことが大切です。
ミャンマーに法人設立する方法
ミャンマーに法人設立するときは、事業内容とも照らし合わせながら進出形態を選択し、そして必要書類を揃えて登記申請を行います。
進出形態の選択
ミャンマーへ進出するときは、主に次の3つの形態から選択することになります。
ミャンマーへの進出形態 | 特徴 |
---|---|
100%外資企業 |
全株式を外国企業が持つ形態。100%の出資で、完全子会社として自社の意思決定で事業を進められる。
経営の自由度が高いなどのメリットがある反面、一部の業種では参入制限があるなどのデメリットもある。 |
合弁企業 |
ミャンマー企業またはミャンマー人との合弁会社。
幅広い業種に取り組みやすくリスク・投資コストも分散できるメリットがあるが、技術の流出や意思決定が上手くいかないおそれがあるなどのデメリットもある。 |
支店(海外法人) |
外国企業がミャンマーへ支店を置く形態で、本社の一部であるため独立の法人格は持たない。
設立手続きが比較的簡単で管理もしやすいというメリットがあるが、現地での訴訟トラブルが本社にまで及ぶ可能性があるなどのデメリットもある。 |
また、現地企業との契約で、連携して事業を展開していくという進出方法もあります。
この場合は外国企業として法人設立は行わず、契約関係を基礎として事業を進めることになります。
各種許認可や登記の申請
ミャンマーで法人を設立する場合の基本的な流れは次のとおりです。
- 事業内容に対する規制の確認
・・・「実施予定の事業はミャンマーで適法に遂行できるか」を調査する。 - 各種許認可の申請
・・・投資許可申請や各業種別のライセンスなどを取得。法人設立後の申請を求められているものに関しては登記後に行う。 - 法人設立の登記申請
・・・投資企業管理局(DICA:Directorate of Investment and Company Administration)にて法人設立のための登記申請を行う。その際、取締役として就任予定の方の「パスポートまたはNRC(国民登録カード)の写し」と「ミャンマー語または英語で作成された定款」の提出が必要。
また、法人設立後は現地で銀行口座の開設や社会保険、税務に関する手続きも行いましょう。
事前調査と入念な計画策定が大切
ミャンマーへの進出にはビジネスチャンスもありますが、政治・経済の面での変化が今後も比較的大きいと見られているため、常に最新情報を確認しながら進出の計画を立てる必要があります。
外国法人の設立、ミャンマー進出に精通した専門家のサポートも受けながら慎重に進めましょう。
投稿日:2025/5/7
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