【法人の決算】経営者や経理担当者が知っておきたい決算業務の流れや必要書類
株式会社や合同会社など、法人を経営する以上、決算は毎年必ず行わなければなりません。会社を立ち上げて最初の決算を迎える経営者、あるいは決算業務にはじめて取り組む経理担当者などはわからないことも多くあるかと思いますが「いつまでに何をしないといけないのか」「どんな書類が必要なのか」を把握しておく必要があります。
決算の概要
そもそも決算とは、「企業活動の成果を数字で表し、会社の財政状態や経営成績を整理する作業」ということができます。
決算業務を適切に行うことで、どれだけの売上を上げ、どのような費用をかけ、結果としていくらの利益を得たのかを把握できるようになるでしょう。
また、決算の目的は単なる数字の整理だけではありません。決算により作成される計算書類等は確定申告などの税務処理でも必要となるため、法律上の義務を履行する目的でも行われる重大な業務です。
さらには、こうして作成される決算書は「株主や取引先、金融機関などの利害関係者に対して経営状況を説明できるようにする」という役割も担います。
決算で必要になる主要な書類
決算において最終的に作成すべきものが「決算書」です。具体的には以下の書類などが含まれます。
- 「貸借対照表」・・・決算日時点での会社の財政状態を表す書類で、資産・負債・純資産にわけて会社の状況を表現する。
- 「損益計算書」・・・1年間の収益と費用、その差額である利益を示し、会社の経営成績を表す書類。
- 「株主資本等変動計算書」・・・株主の持分がどのように変動したかを記録する書類。
※上場企業など一定の要件を満たす会社には、さらに「キャッシュ・フロー計算書」の作成も求められる。
また、決算書の完成後は税務申告のため、次のような書類も作成します。
- 「法人税申告書」・・・法人税の計算と申告に必要な書類で、別表1~20まで複数の様式からなる。すべての法人が提出しなければならないのは次の5つ。
- 別表一(各事業年度の所得に係る申告書)
- 別表二(同族会社等の判定に関する明細書)
- 別表四(所得の金額の計算に関する明細書)
- 別表五(一)(利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書)
- 別表五(二)(租税公課の納付状況等に関する明細書)
- 「勘定科目内訳明細書」・・・各勘定科目の内訳を、相手先や内容別に詳しく記載した書類。決算日の翌日から2ヶ月以内に税務署に提出しなければならない。
- 「事業概況説明書」・・・会社の業務内容や従業員数、支店数、売上高などをまとめた書類で、事業内容に変更があった場合は詳しく記載する。
※消費税の課税事業者である場合は、「消費税申告書」の作成・提出も必須。
これらの書類のほか、決算業務を進めるために各種帳簿や証憑類も欠かせません。これらは日々の業務の中で発生・作成するものであり、決算のためにも大事に保管を続けなければなりません。特に「総勘定元帳(仕訳帳の内容を勘定科目ごとに分けた帳簿)」は決算書作成の基礎となるため帳簿の中でもとても重要な書類といえるでしょう。
決算業務の流れ
重要なのは一定の時期までに誤りのない決算書および申告書を作成することであり、それまでの業務の進め方について細かく決められているわけではありません。
ただし、正確性を担保するとともに対応の遅れを生じさせないためには、ある程度期間に余裕をもって取り組むことが必要になるでしょう。
《一般的な決算業務の流れ》
- 決算の準備(決算月末までに)
- 決算作業をスムーズに進めるため、決算月までに準備にとりかかる。たとえば役員や従業員に対して経費精算の提出を求めたり取引先に請求書の発行を依頼したりして、当期中の取引を計上できるように備える。
- 決算月末には実地棚卸を実施し、在庫の実際の数量を確認する。
- 決算整理業務(決算月の翌月)
- 期中の取引を整理し、帳簿上の数字と実際を合わせるために年度末に行う仕訳(決算整理仕訳)を行う。
- 帳簿残高と実際残高に相違がないか、今期の費用が正しく計上されているか、減価償却費が正しく計上されているかのチェックや、実地棚卸の結果に基づく売上原価の計算などを行う。
- 決算書および申告書の作成(決算月翌月~翌々月)
- 決算整理仕訳が完了すれば試算表を作成。金額の整合性を確認後、決算書の作成に取りかかる。
- 貸借対照表と損益計算書を中心とした決算書の作成が完了すれば、それらを基に法人税申告書など各種申告書を作成していく。
- 申告・納税(決算日から2ヶ月以内)
- 法人税の申告期限は決算日の翌日から2ヶ月以内。3月決算の会社なら5月末日までに申告・納税を完了させなければならない。
- 法人税、消費税、法人事業税、法人住民税(都道府県民税・市町村民税)などに対応していく。
なお、一定の条件を満たす場合は申告期限を延長できる制度もありますが、納税が遅れると加算税や延滞税の負担が上乗せされてしまいますのでなるべく期日内の完了を目指しましょう。
決算業務を効率良く進めるには
決算作業をスムーズに進めるために特に大事なポイントは「日々の経理業務を正確に行うこと」です。
まとめて記帳をしようとすると作業量が膨大になりますし、ミスが発生するリスクも高まります。そこで日々記帳を行うことはもちろん、月次決算も実施して毎月の数字を確定させておきましょう。こうすることで年次決算の負担を大きく軽減できます。
また、作業ミスの低減や作業スピードを上げるためには「ITツールの活用」も重要です。会計システムを導入すると転記などは自動的に行われますので、日常的な仕訳さえ着実に済ませておけば関連する帳簿も自動で作成されていきます。
さらに「税理士との連携」も行うことで決算や税務申告の精度を上げることができます。判断に悩む処理や手続き、書類作成なども、税理士に相談できる体制を整えておけばスムーズに解決できるでしょう。税務調査を受けることになっても税理士が一緒に立ち会って対応することができます。
投稿日:2025/9/17
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