相続登記や法人登記を忘れるとどうなる!?

登記について、2点ピックアップしたいと思います。

 

①相続登記について
相続登記の申請が、令和6年4月1日から義務化されました。
この義務化の背景にあるのが、所有者不明の土地が増加し、適切な管理がされず放置され周辺の環境が悪化することや、
所有者の探索に時間と費用がかかり、民間取引・公共事業などを阻害していることがあげられます。

 

相続登記のポイント
(1)相続(遺言も含みます。)によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

(2)遺産分割が成立した場合には、これによって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記をしなければなりません。

 

(1)と(2)のいずれについても、正当な理由(※)なく義務に違反した場合は10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となります。

なお、令和6年4月1日より以前に相続が開始している場合も、3年の猶予期間がありますが、義務化の対象となります。

不動産を相続したら、お早めに登記の申請をしましょう。

正当な理由とは、(※)相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の資料収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケースなどが該当します。

 

②法人の登記について(みなし解散について)
一定期間登記がされていない、株式会社や一般社団法人又は一般財団法人に該当する場合、令和6年12月10日までに、
「まだ事業を廃止していない」旨の届出を登記所に提出する必要があります。
管轄の登記所手続きがされなかったときは、「みなし解散の登記」がされることになります。

 

・休眠会社・休眠一般法人の整理作業について
全国の法務局では、毎年、休眠会社・休眠一般法人の整理作業を行っています。
毎年10月頃、法務大臣による官報公告が行われ、休眠会社又は休眠一般法人に対して、登記所から通知書が送付されます。
この公告から2か月以内に役員変更等の必要な登記又は「まだ事業を廃止していない」旨の届出がされないときには、実際には事業を継続していたとしても、
みなし解散の登記がされることになります。(この一連の手続を「休眠会社・休眠一般法人の整理作業」といいます。)

 

・休眠会社・休眠一般法人とは
(1) 休眠会社:最後の登記から12年を経過している株式会社(会社法第472条の休眠会社。特例有限会社は含まれません。)

(2) 休眠一般法人:最後の登記から5年を経過している一般社団法人又は一般財団法人
(一般法人法第149条の休眠一般社団法人又は第203条の休眠一般財団法人。公益社団法人又は公益財団法人も含まれます。併せて「休眠一般法人」といいます。)

なお、最後の登記以降に、登記事項証明書や代表者届出印の印鑑証明書の交付請求を行っていても関係ありません。

 

・「まだ事業を廃止していない」旨の届出について
まだ事業を廃止していない休眠会社又は休眠一般法人は、公告から2か月以内に役員変更等の必要な登記をしない場合には、「まだ事業を廃止していない」旨の届出をする必要があります。
届出をする際は、登記所からの通知書の下段にある「届出書」に所定の事項を記載し、登記所に送付又は提出することが必要です。また、代理人によって届出をするときは、委任状の添付が必要です。
通知書を利用できない場合には、書面に以下の事項を記載し、提出する必要があります。

 

(1) (休眠会社)商号、本店並びに代表者の氏名及び住所
(休眠一般法人)名称、主たる事務所並びに代表者の氏名及び住所
(2) 代理人によって届出をするときは、その氏名及び住所
(3) まだ事業を廃止していない旨
(4) 届出の年月日
(5) 登記所の表示
※不備があると、適式な届出として認められないことがありますので、注意が必要です。

「まだ事業を廃止していない」旨の届出をした場合であっても、必要な登記申請を行わない限り、翌年も「休眠会社・休眠一般法人の整理作業」の対象となりますのでご注意ください。

なお、この届出又は必要な登記申請がされた場合であっても、それ以前の登記懈怠については、裁判所から過料に処せられる可能性があります。

 

・みなし解散の登記について
公告から2か月以内に、必要な登記申請又は「まだ事業を廃止していない」旨の届出をしなかった休眠会社又は休眠一般法人については、
その2か月の期間満了の時に解散したものとみなされ、登記官が職権で解散の登記をします(みなし解散の登記)。

なお、みなし解散の登記後であっても、3年以内に限り、下記の決議を行い
2週間以内に継続の登記の申請をすることで、継続することができます。

 

(1) 解散したものとみなされた株式会社は、株主総会の特別決議
(2) 解散したものとみなされた一般社団法人又は一般財団法人は、社員総会の特別決議又は評議員会の特別決議

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