「賃上げ促進税制」税制改正のポイントを理解しよう!

今回は、「令和6年度」の税制改正で見直しが行われた、「中小企業向け」の「賃上げ促進税制」についての概要をお伝えしようと思います。なぜ、「令和7年」の今、「令和6年」の税制改正の話をするのかというと、令和7年5月以降に税務申告を行う会社にとって有益な情報だからです。今回ご紹介する税制改正の内容は、令和7年3月決算において初めて適用を迎えるものです。
つまり、通常5月に税務申告を実施する3月決算の企業担当者の方に、今まさに知っていただきたい情報、という事です。
令和7年6月以降に申告を予定している企業担当者の方も是非ご一読いただければ幸いです。

 

■賃上げ促進税制とは…
・賃上げや人材育成への投資を積極的に行う企業に対し、雇用者給与等支給額の前年度からの増加額の一定割合を、法人税額又は所得税額から控除する税制です。
・全企業向け税制、中堅企業向け税制、中小企業向け税制の3種類あり、法人にあっては適用事業年度終了の時、
個人事業主にあっては適用を受ける年の12月31日における企業規模に応じて利用可能な税制が異なります(併用はできず、いずれか一つのみの選択適用となります)。

 

■令和6年度税制改正での主なポイント
1)教育訓練費要件の改正、新設
→下記「上乗せ用件(その1)」

 

2)子育てとの両立・女性活躍支援要件の新設
→下記「上乗せ用件(その2)」

 

3)繰越控除措置の新設
要件を満たす賃上げを実施した年度に控除しきれなかった金額について、翌年度以降に5年間繰り越しが可能となった。

 

■賃上げ促進税制の適用要件と税額控除(必須要件が一つ、上乗せ用件が二つ)
1)必須要件
雇用者給与等支給額が前年度と比べて、「(1)5%以上増加していること」、又は、「(2)2.5%以上増加していること」
「(1)1.5%以上増加」の場合:控除対象雇用者給与等支給増加額の「15%」を法人税額又は所得税額から控除
「(2)2.5%以上増加」の場合:控除対象雇用者給与等支給増加額の「30%」を法人税額又は所得税額から控除
※税額控除額の上限: 法人税額又は所得税額の20%(通常・上乗せ共通)が上限となります(繰越控除制度の適用を受ける場合には、繰越控除を受ける金額とあわせて20%が上限となります)

 

2)上乗せ用件(その1)(令和6年度税制改正にて改正、新設)
教育訓練費の金額の比較教育訓練費の金額に対する増加割合が減少。また、教育訓練費の金額が雇用者給与等支給額の0.05以上、という要件が新設された。
→要件を満たすと、税額控除率を10%上乗せ

【(改正前)教育訓練費要件】
教育訓練費の額 ≧ 比較教育訓練費の額 × 1.1

【(改正後)教育訓練費要件】
教育訓練費の額 ≧ 比較教育訓練費の額 × 1.05 且つ 教育訓練費の額 ≧ 雇用者給与等支給額 × 0.05%

 

3)上乗せ要件(その2)(令和6年度税制改正にて新設)
子育てとの両立・女性活躍支援を推進する企業に対しての上乗せ用件が新設された。
→要件を満たすと、税額控除率を5%上乗せ

【(改正前)子育てとの両立・女性活躍支援要件】
無し

【(改正後)子育てとの両立・女性活躍支援要件】
適用事業年度中にくるみん認定、くるみんプラス認定若しくはえるぼし認定(2段階目以上)を取得したこと、又は、
適用事業年度終了の時において、プラチナくるみん認定、プラチナくるみんプラス認定若しくはプラチナえるぼし認定を取得していること

 

■繰越控除措置の新設
要件を満たす賃上げを実施した年度に控除しきれなかった金額について、翌年度以降に5年間繰り越しが可能になりました。
例)
令和7年度 法人税額:0、税額控除(賃上げ):450→翌年度(令和8年度)に繰り越し
令和8年度 法人税額:1,500→控除限度額:300(法人税額の20%が控除限度額)を控除→控除限度額を超過する150を翌年度(令和9年度)以降に繰り越し

※繰越控除措置を適用する場合は、以下の資料を提出する必要があります。
・未控除額が発生した事業年度以後の各事業年度の確定申告書に繰越税額控除限度超過額の明細書
・繰越税額控除措置の適用を受けようとする事業年度の確定申告書等に繰越控除を受ける金額を記載するとともに、その金額の計算に関する明細書
※繰越控除措置は、繰越税額控除を受けようとする事業年度において、雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額より増加している場合に限り、適用可能。

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