マニアックな税目?酒税の世界

今回は「酒税」について取り上げたいと思います。
酒税は税金の中でもかなりマニアックな税目ですが、実は税理士試験の受験科目になっています。

今回は、その酒税の基本的な仕組みや考え方を、ご紹介します。

 

【酒税とは】
酒税は、アルコール分1度以上の飲料に対して課される国税です。
私たちがコンビニやスーパーで買うお酒の価格には、酒税が含まれています。

 

【酒税法の目的】
酒税は、収入源としての財政的な役割と、過度な飲酒を抑制する社会政策的な役割を担っています。

 

【酒類の分類】
酒税法では、酒類を製造方法や特性で以下のように分類します。

 

(1)発泡性酒類
アルコール分10度未満で発泡性を有する酒類
ビール、発泡酒など

 

(2)醸造酒類
アルコール発酵をさせて造られた酒類
→ 清酒、果実酒など

 

(3)蒸留酒類
アルコール発酵をさせたものを蒸留して造られた酒類
→ 焼酎、ウイスキー、ブランデーなど

 

(4)混成酒類
他の酒類に糖分・香料・果実などを加えた酒類
→ みりん、リキュールなど

 

【税率】
酒類は分類ごとに基本税率が定められ、さらに品目ごとに税率が細分化されています。
この税率は1キロリットル(kl)当たりの税率です。

 

〈発泡性種類〉
発泡酒(麦芽比率50%以上)    :181,000円
発泡酒(麦芽比率25~50%未満)  :155,000円
発泡酒(麦芽比率25未満)     :134,250円
その他の発泡性種類(チューハイ等):80,000円

 

〈発泡種類〉           :100,000円

 

〈蒸留種類〉
焼酎(アルコール分21度未満)   :200,000円
焼酎(アルコール分21度以上)   :210,000円 ※
ウイスキー・ブランデー      :370,000円
(アルコール分38度未満)
ウイスキー・ブランデー      :380,000円 ※
(アルコール分38度以上)

 

※アルコール分1度当たり10,000円を加算

 

〈混成種類〉
合成清酒             :100,000円
みりん              : 20,000円
甘味果実酒・リキュール      :120,000円
その他(アルコール分21度以上)  :200,000円 ※

 

※アルコール分1度当たり10,000円を加算

 

この分類の背景には、製造コスト・製法の違いを考慮した課税の公平性、高度数アルコールの消費抑制といった目的があります。

 

【酒税の計算方法】
酒税の税額は、容量に税率をかけることで計算します。
「税額 = 容量× 酒類ごとの税率(1kl当たり)」

ここからは、私たちが普段購入するお酒にどれくらい酒税がかかっているか、具体例を使って見ていきます。

 

【例1:350ml缶1本あたりの酒税】
•ビール(麦芽50%以上)の税率:181,000円/kl(=0.181円/ml)
350ml×0.181円/ml → 1本あたりの酒税:約63円

•発泡酒(麦芽25%以上50%未満):155,000円/kl(=0.155円/ml)
350ml×0.155円/ml → 1本あたりの酒税:約54円

•第3のビール(新ジャンル):134,250円/kl(=0.134円/ml)
350ml×0.134円/ml → 1本あたりの酒税:約47円

•チューハイ:80,000円/kl(=0.080円/ml)
350ml×0.080円/ml → 1本あたりの酒税:約28円

比較:同じ350ml缶でも、ビールとチューハイでは1本あたり約35円の差があります。

 

【例2:720ml(四合瓶)に係る酒税】
・清酒(純米酒、吟醸酒など)の税率:100,000円/kl(=0.10円/ml)
720ml×0.100円/ml → 1本あたりの酒税:72円

・焼酎(アルコール分21度未満)の税率:200,000円/kl(=0.20円/ml)
720ml×0.200円/ml → 1本あたりの酒税:144円

・ウイスキー(アルコール分38度以上)の税率:380,000円/kl(=0.38円/ml)
720ml×0.380円/ml → 1本あたりの酒税:約274円

比較:同じ720ml瓶でも、清酒とウイスキーでは1本あたり約202円の差があります。

 

【まとめ】
お酒の価格には、酒税の税率の違いが大きく影響しています。
その税率は、製造方法の違いや、過度な飲酒の抑制という社会的な配慮を踏まえて定められています。
私たちが日常の中で何気なく選んでいるお酒にも、税の仕組みがしっかりと反映されています。
酒税を少し意識してみることで、お酒選びに新たな視点が加わるかもしれません。
ぜひ、飲み会の場などで雑談ネタとして披露してみてはいかがでしょうか。

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