副業は事業所得?雑所得?

8月に国税庁が「副業収入が年間300万円以下なら雑所得」とする改正案を公表しました。しかし今月、副業収入が300万円以下であっても、
事業の帳簿書類を作成(記帳)し保存していれば「事業所得」として申告できるとの新たな通達が発表されました。https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/kaisei/221007/index.htm

なぜこのような展開になったのでしょうか。

今まで確定申告における「事業所得」「雑所得」との境界線があいまいでした。
副業を雑所得ではなく事業所得として赤字計上すれば、本業の給与所得と損益通算して節税することができます。

そこで、「事業所得」「雑所得」を明確化しようと国税庁が発表したのが、「収入300万円」という線引きでした。
しかし、300万円の基準が不明確、副業を推進する政府の方針に逆行するなどの多くの反対意見があり、今回見直しがなされました。

まず、事業所得雑所得の違いを見てみましょう。

<事業所得とは>
・社会通念上「事業」に該当することが大前提
・独立して営利目的として行われ、反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務である
・青色申告の特典が受けられる
①青色申告特別控除(最高65万円)
②青色事業専従者給与:家族への給与を必要経費に算入できる
③少額減価償却資産の特例:1つ30万円未満、総額300万円以内の資産の取得費を全額即時償却できる
④繰り越し控除:マイナスが出たら翌年度以降3年間の所得金額から差し引ける
⑤繰り戻し還付:マイナスが出たら前年度の所得金額から差し引いて、支払った所得税から還付を受けられる
・本業の給与所得と損益通算できるため、事業所得が赤字になると所得税の還付申告ができる

<雑所得とは>
・10種類の所得のうち他の9種類のどれにもあてはまらない所得
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2015/b/01/1_03.htm
・「事業」として行っているほどでない副業収入的なもの
・青色特別控除が適用されない
・給与所得と損益通算できないので、赤字でも所得税の還付申告ができない

次に、事業所得とするために必須となった帳簿の作成・保存について見てみましょう

・帳簿とは、事業の取引やお金の動きを記録する書類
・ノートに手書きで記帳したり、会計ソフトを使用したりして行う
・青色申告の場合は複式簿記である必要があるため、会計ソフトを使用することが多い
・領収証などとともに7年間保存する

最後に、今回の改正よる注意点をまとめます

・事業所得か雑所得であるかは社会通念上で判断するのが原則なのは変わらない
→つまり、帳簿があればすべて事業所得になるわけではなく個別判断される
→例えば、3年程度その収入が本業の収入の10%以下で300万円以下の場合や、3年程度赤字で、赤字解消の努力をしていない場合は雑所得となりえる
※通達は国税庁の内規であり法律ではない点にも留意する必要がある

今回の改正は今年の確定申告から適用されます。
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