話題の外れ馬券。時代遅れの税制?!

まずは外れ馬券の課税関係について考えてみたいと思います。
ある芸能人がおよそ6400万円の払戻しを受けて、それに対して高額な課税がされたというニュースは記憶に新しいかと思います。


競馬の払戻金については一時所得か雑所得かどちらに該当するかで大きく課税関係が変わってきます。一時所得に該当した場合の課税関係は以下の通りです。

【一時所得の金額=総収入金額-その収入を得るために支出した金額-特別控除額50万】

つまり、払戻金額からその払戻に係る馬券の購入金額を差し引き、さらに50万円を差し引いた残額を基に税額を計算していきます。

ポイントは上記算式中の「その収入を得るために支出した金額」です。

この文言により外れ馬券が経費として認められず、過去に何度も裁判が起こされています。
一方雑所得に該当した場合の課税関係は以下の通りです。

【雑所得の金額=総収入金額-必要経費】(業務に係るもの)
(業務に係るものとは、副業に係る収入のうち営利を目的とした継続的なものをいう、と定義されています。)

一時所得の時は「その収入を得るために支出した金額」となっていたところ、雑所得のときは「必要経費」と表現の違いがあります。つまり、外れ馬券も必要経費に含めることができます。

では「営利を目的とした継続的なもの」とは何を指すか?という議論が出てきますが、非常に限られた特殊なケースのみしか該当しません。判例では以下のような説明がされています。

「行為の期間、回数、頻度その他の態様、利益発生の規模、期間その他の状況等の事業を総合的に判断するのが相当である。」


過去の判例でも雑所得と認定されたのは2例しかありません。基本的には雑所得に該当することはないと思っておいた方が無難かと思います。


さて、ここからはいくつか考察してきたいと思います。
冒頭の芸能人は外れ馬券が経費にならない理由を国税庁から以下のような説明を受けたようです。

「競馬場で捨てられている外れ馬券を拾い集めれば架空経費がいくらでも作れてしまうため」

コロナもあり、現在ではネットで馬券を購入する人が増えており、逆に紙の馬券を購入する人は減っているようです。このような現在の状況を加味してもなお、上記の理屈は通るでしょうか?
今後さらなるDXの進展により税制が変わっていくこともあるかもしれません。また逆に、例えば払戻時点で源泉をする仕組みにしてしまうのも一つの手かもしれません。いっその事宝くじとの整合をとり非課税にしてしまう。というのは暴論でしょうか。

皆様はどのようにお考えでしょうか?

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