2021年税制改正大綱 ~ 税制改正から見える今。そして未来。

「税制改正大綱」とは、与党が税制調査会を中心に翌年度以降に実施する税制改正の方針をまとめたものです。
 
毎年12月に閣議決定され、これをもとに法案が作成されます。
 
今回は、ウィズコロナ・ポストコロナの経済再生、デジタル社会の実現、グリーン社会の実現等が柱におかれています。
 
 
【法人課税】
 
◎給与等の引上げ及び設備投資を行った場合の税額控除制度を見直し
  企業が新しい社会へ適応していくために、また企業の採用状況が悪化している状況から、これまでの賃上げ及び設備投資を行った場合の税額控除制度を見直し、新規雇用者や教育訓練費の増加に着目した税制とします。
 
◎デジタルトランスフォーメーション(DX)投資促進税制の創設
  経済の持続的成長には、デジタル技術を活用したビジネスモデルの変革を促進すべき!ということで、新規ビジネスの構築等に関する計画に基づく、事業変革デジタル投資を促進する税制を創設します。
 
◎カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の創設
  2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「2050年カーボンニュートラル」実現にむけ、税制上強力に支援する税制を創設します。
 
◎中小企業の支援として
 
 ・所得拡大促進税制の見直し
   適用要件のうち、継続雇用者給与等支給額の継続雇用者比較給与等支給額に対する増加割合が1.5%以上であることとの要件を、雇用者給与等支給額の比較雇用者給与等支給額に対する増加割合が1.5%以上であることとの要件に見直します。
 
 ・中小企業向け投資促進税制等の延長
   中小企業者等の法人税の軽減税率の特例の適用期限を2年延長します。
   中小企業投資促進税制について、指定事業の追加等見直しを行った上、適用期限を2年延長します。
 
他、試験研究を行った場合の税額控除制度についての見直しや、(大企業向け)繰越欠損金の控除上限の特例の創設等。
 
 
【個人課税】
 
◎住宅ローン控除の特例の延長等
  住宅投資を幅広い購買層に対して喚起するため、控除期間13年の特例について適用期限を延長します。
  令和4年末までの入居者を対象とするとともに、この延長した部分に限り、合計所得金額1000万円以下の者について面積要件を緩和します(50平方メートル以上→40平方メートル以上)。
 
◎退職所得課税の適正化
  法人役員等以外についても勤続年数5年以下の短期の退職金については、2分の1課税の適用から除外します。
  ただし、退職所得控除額を控除した支払額300万円までは、引き続き2分の1課税を適用します。
 
他、セルフメディケーション税制の見直しや、子育てに係る助成等の非課税措置等。
 
 
【その他】
 
◎税務関係書類における押印義務の見直し
  税務手続の負担軽減のため、税務署長等に提出する国税関係の書類について、実印の押印や印鑑証明書の添付を求めているもの等を除き、押印義務を廃止します。
  また、地方公共団体の長に提出する地方税関係書類についても同様とします。
 
◎電子帳簿保存制度の見直し等
  経済社会のデジタル化を踏まえ、帳簿書類を電子的に保存する際の手続きを抜本的に見直します。(事前承認制度の廃止や、スキャナ保存制度の手続・要件を大幅緩和など)
 
 
加速するデジタル社会へ対応すべく、既存の制度の大きな見直しがはじまりますね。
 
業務効率化につながる改正に期待したいと思います!

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