試験研究費の総額に係る税額控除制度について

 
【試験研究費の総額に係る税額控除制度とは・・・】
 
その事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額がある場合に、その試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の法人税額から控除することを認めるものです。
 
 
 
 
【適用対象法人】
 
ここの制度の適用対象法人は、青色申告法人です。
 
また、資本金または出資金の額が1億円以下の法人
 
資本もしくは出資を有しない場合は、常時使用する従業員の数が1000人以下の法人をいいます。
 
※下記の①②は除く
① その発行済株式または出資の総数または総額の2分の1以上が同一の大規模法人の所有に属している法人
② ①のほかその発行済株式または出資の総数または総額の3分の2以上が複数の大規模法人の所有に属している法人
 
 
 
【適用対象年度】
 
この制度の適用対象年度は、次に掲げる事業年度以外の事業年度です。
 
(1) 解散(合併による解散を除きます。)の日を含む事業年度
 
(2) 清算中の各事業年度
 
 
 
 
【試験研究費について】
 
この制度の対象となる試験研究費の額とは、製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究のために要する原材料費、人件費及び経費のほか、他の者に試験研究を委託するために支払う費用などの額をいいます。
 
ただし、試験研究に充てるために他の者から支払を受ける金額がある場合には、その金額を控除した金額が試験研究費の額となります。
 
また、その試験研究費が税額控除の対象となるかどうかは、その研究の完成度合いによって異なります。
 
例えば、製品化のめどがたたない段階というのは、まさに研究活動そのものであり、その費用は、税額控除の対象となる試験研究費です。しかし、ひとたび製品化が具体化して量産体制に入ると、これは製造費用となりますので試験研究費に該当しません。
 
従って、この場合には、期末に製造原価および棚卸資産として計上しなければなりません。
 
 
 
 
【試験研究費の対象となる人件費】
 
試験研究費の税額控除制度の人件費の範囲は「専門的知識をもってその試験研究の業務に専ら従事する者」に限ります。
 
人件費の範囲は、研究員の次の費用が含まれます。
 
 ①賃金・給与、諸手当
 ②賞与
 ③退職金
 ④法定福利費(健康保険法・雇用保険法等による事業主負担額)
 ⑤福利厚生費(医務、衛生、保険その他従業員の福利厚生の経費)
 
「専門的知識をもってその試験研究の業務に専ら従事する者」とは言え、中小企業は、人的な余裕がなく限られた経営資源の中で研究開発に取り組まざるを得ないため、研究開発以外の業務を兼務するケースが多く見られます。
 
そのようなケースについては、次のすべての要件を満たせば「専ら従事する者」に該当します。
 
①試験研究プロジェクトの業務の全期間従事しなくても、研究プロジェクト計画における設計、試作、開発、評価、分析、データ収集などの業務のうち、その担当者が専門的知識をもって担当する業務を、その担当業務が行われる期間、専属的に従事すること
 
②試験研究プロジェクトにとって、その担当者の専門的知識が不可欠で、担当業務が試験研究のプロセスの中で欠かせないものであること
 
③担当者の従事する実態が、おおむね研究プロジェクト計画に沿って行われるものであり、従事期間がトータルとして相当期間(おおむね1カ月(実働20日程度)以上)あること
 (担当する業務が、その特殊性により期間内で間隔を置きながら行われる場合は、それらの期間をトータルします)
 
④担当者の担当業務への従事状況が明確に区分され、担当業務の人件費が適正に計算されていること
 
 
 
 
【税額控除額について】
 
中小企業者対象の税額控除の具体的な計算方法は3パターンあります。
 
 
①「総額型」 当期試験研究費の総額×12%
 
 例:当期試験研究費1,000万円
 
 税額控除額:1,000万円 × 12% = 120万円
 
 
②「総額型+増加型」 ①+(当期試験研究費-比較試験研究費)×5%
 
 例:比較試験研究費(前3期平均):700万円
   当期試験研究費:1,000万円の計算例
 
 税額控除額:120万円+(1,000万円-700万円)×5% = 135万円
 
 
③「総額型+高水準型」 ①+(当期試験研究費-平均売上金額×10%)×税額控除割合
 
 例:平均売上金額:5,000万円
   当期試験研究費:1,000万円
   (試験研究費割合20%)の計算例
 
  税額控除割合=(試験研究費割合※-10%)×0.2
  ※試験研究費割合=当事業年度の試験研究費÷平均売上金額
 
 税額控除額:120万円+(1,000万円-5,000万円×10%)×2% = 130万円
 
 
試験研究費の税制控除額は①②③の②が一番有利ですね♪
より詳しい計算方法はこちらをご覧ください。
 
 
 
【1ポイントアドバイス】
 
研究開発税制の適用の可否が科目名によってのみ判断されるのではないため、せっかく該当する費用の範囲に含まれていても、その証ひょう資料が作成されていないと、税務調査時のトラブルとなってしまいます。
 
そんなトラブルを事前に回避するためにも、証試験研究費に関連する費用を発生時点から把握し、研究開発税制の適用要件を満たした資料を作成しておくのもいいかもしれませんね♪
 
 
 
 
 
<<私たちの事務所について>>
 
 
こんにちは。税理士法人Right Hand Associatesの神部です。
 
先月から産休に入っていたスタッフが、無事出産した!と連絡がありました!!
 
元気な女の子だそうです♪
 
ついこないだまで一緒に働いていたのに、もう産まれただなんて・・・
 
なんだか不思議な感じです。
 
事務所内には他にも働くママ達がたくさんいます♪
 
時短を利用したり、フレックス制度を活用している人もいます。
 
一人ひとりがライフスタイルに合った雇用形態を選択している為、家庭と仕事の両立が可能なのかなと感じています。
 
きっとそれができるのも、税理士法人Right Hand Associatesならではなのかな、と自負しております♪
 
 
 
 
 
<<編集後記(今月のスタッフ日記)>>
 
先日、家族みんなで草津温泉に行ってきました。
 
草津と言えば、湯もみや湯畑が有名ですが、最近では映画テルマエロマエで撮影場所となった事でも有名です。
 
草津の源泉はとても熱く、最高91度まであります。
 
昔の人は、温泉として利用できるよう湯もみや湯畑を作り、48度くらいまでに温度を下げ、入浴として利用していたようです。
 
それでも48度の湯の中に、入浴する事は至難の業です。
 
そこで、大勢で一斉に3分間と時間を決めて入浴するという「時間湯」という伝統的な入浴方法が作られたそうです。
 
時間湯に入る前には必ず湯もみをします。これが準備運動となり、安全に入る為の必要不可欠な作業となるそうです。
 
温度を下げるためだけの湯もみかと思っていましたが、入浴する前の準備運動も兼ねていたなんて、昔の人は良く考えて作っていたんだなと改めて感じました。
 
今回の温泉旅行で、さすがに48度の湯の中には入れませんでしたが、草津の湯で心身ともにリフレッシュし、新たな気持ちで業務に励んでいきたいと思います♪

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