消費税の軽減税率とインボイス方式

消費税率の引上げ時期が当初の27年10月から29年4月に変更になりました。
10%引上げ時に導入が検討されている「軽減税率」ですが、日本でも導入されることになるのでしょうか?
導入されるとしたら、一体どんなものが軽減されるのでしょうか?
 
現在自民党の消費税軽減税率制度検討委員会では
(1)「酒類を除く飲食料品」を対象とする場合
(2)「生鮮食品」を対象とする場合
(3)「精米」を対象とする場合
の3案にまでしぼられているようです。
 
各案ごとの対象品目や区分経理は下記のようになります。
 
(1)「酒類を除く飲食料品」を対象とする場合
・対象品目
食品表示法に基づく食品表示基準の対象となるものの譲渡
食品衛生法の許可を受けて飲食店営業等を営む事業者が行う飲食料品を飲食させる
役務の提供(風営法の許可・届出が必要な者が行うものを除く)
 
・区分経理
EU型インボイス方式
 
(2)「生鮮食品」を対象とする場合
・対象品目
食品表示法に基づく生鮮食品に係る食品表示基準の対象となるものの譲渡
 
・区分経理
EU型インボイス方式
 
(3)「精米」を対象とする場合
・対象品目
関税定率法の別表関税率表に定める精米の譲渡
 
・区分経理
区分経理に対応した請求書等保存方式
欧米では外食と外食以外で税率が違う国がありますが、上記の案だとその区分はないようですね。
 
それでは軽減税率の導入が検討され始めてから、よく耳にするようになった「インボイス方式」とは具体的にどんな方式なのでしょうか?
 
まず現在日本で行われている区分経理は「請求書保存方式」です。
請求書保存方式によると、仕入税額控除の要件は、帳簿の保存に加え取引の相手方(第三者)が発行した請求書等という客観的な証拠書類の保存です。
単一税率の下では、請求書等に税額が別記されていなくても仕入税額の計算に支障はないため、請求書等に適用税率・税額を記載することは義務付けられていません。
 
インボイス方式によると、課税事業者が発行するインボイスに(適用税率や税額など法定されている記載事項が記載された書類)記載された税額のみを仕入税額控除することができ、このインボイスには適用税率・税額の記載が義務付けられています。
また免税事業者は「インボイス」を発行できないため、免税事業者からの仕入れについて仕入税額控除ができません。
 
上記3案のうち、(1)と(2)はこのインボイス方式を採用しています。
また(3)が複数税率の下にも関わらず請求書保存方式を採用している経緯は下記のように記されていました。
 
「売手は自らの納付税額を記載することなく、買手は請求書等に付された印は参考とするものの、最終的には自らの判断で標準・軽減の区分を行って仕入税額を計算することとなるため、売手の納付税額と買手の仕入税額が連動しない。しかしながら、対象品目が「精米」のみであれば、対象品目の線引き判断は比較的容易と考えられることから、区分経理に対応した請求書等保存方式によることとする」
 
税率の引上げや軽減税率の導入、さらに区分経理の変更と事務負担が増えることが多い消費税率の引上げですが、新しいことが決まり次第逐一お知らせしていきたいと思います。
 

高い融資獲得率と豊富な実績がございます。お気軽にお問い合わせください。