医療費控除!あなたは勘違いしていませんか?

医療費控除、勘違いしている事はありませんか?確定申告で最もポピュラーな医療費控除ですが、誤解されている内容が多いように感じます。
医療費控除に関する誤解をまとめてみました!
 
 
◆ 医療費控除は10万円から!
 
「10万円を超えないと医療費控除は受けられない」と思っていませんか?
医療費控除の金額は下記の式で求められます。
 
医療費控除の金額(※1)=正味の医療費(※2)-10万円又は総所得金額の5%
(※1)上限200万円
(※2)1月1日から12月31日の一年間に支払った医療費から健康保険や健康保険組合からの給付や保険金などで補填された金額を除いた金額
 
「かかった医療費から10万円引くと思っている方が多いようですが、総所得金額が200万円未満の方は総所得金額の5%を超えた額が医療費控除の額となります。
「所得」とは収入から必要経費を引いた「もうけ」のことです。
会社員やパートなど給与収入の方の場合、収入に応じて算出される「給与所得控除」が必要経費とみなされ、所得は次の式で求められます。
 
・給与所得=給与収入-給与所得控除
 
では、次のケースで医療費控除は受けられるでしょうか?
 
・夫:会社員、年収500万円
・妻:パート、年収125万円
・1年間の正味の医療費合計額:9万円
 
まず夫の所得を確認します。
・給与収入500万円-給与所得控除154万円=346万円
 
所得が200万円以上ありますので、正味の医療費9万円から引く金額は10万円となり、医療費控除額は受けられません。
 
次に妻の所得を確認します。
・給与収入125万円-給与所得控除65万円=60万円
 
所得が200万円未満なので正味の医療費から所得の5%を引くことにします。
所得60万円の5%、3万円を超える金額が医療費控除の対象となります。
 
・医療費控除の額=正味の医療費9万円-60万円×5%=6万円
 
妻は医療費9万円のうち6万円を医療費控除として確定申告を行うことができます。
 
医療費が10万円以上なくても医療費控除が受けられる可能性がある目安は以下の通りです。
・会社員、パート等:給与収入が310万円以下
・年金生活者(64歳以下):公的年金収入が270万円未満
・年金生活者(65歳以上):公的年金収入が320万円未満
・自営業者 :「売上-必要経費(専従者給与含む)-青色申告特別控除」 が200万円未満
 
◆ 保険等の給付があったら医療費の合計から給付額を引く!
 
医療費控除の対象になる正味の医療費は
「その年中に実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補填される金額」
で計算します。
例えば、夫の入院にかかった医療費8万円・夫の入院に対する保険給付金14万円
夫の入院以外にかかった医療費の合計額12万円
医療費控除の対象になる医療費はいくらになるでしょう?
20万円-14万円=6万円ではありません。
医療費控除の対象になる正味の医療費は12万円です。
保険給付金は給付対象となる入院や治療費からのみ差し引きます。
引ききれなくても他の医療費から引く必要はありません。
 
◆ 交通費は対象にならない!
 
通院交通費は「医療費ではないので医療費控除の対象にならない」と思っていませんか?
通院のための交通費も医療費控除の対象になります。
子どもの通院など付き添いが必要な場合は、付き添いの交通費も対象になります。
電車やバスなどの公共交通機関の料金は領収書がなくても構いません。
医療機関までの交通費を調べて、通院回数を乗じて計上すれば良いでしょう。
自家用車による通院のガソリン代や駐車場代は認められませんが、タクシー代は症状等により対象になる場合があります。
タクシー代は領収書が必要になりますので、保管しておきましょう。
 
◆ 保険がきかない治療費は対象にならない!
 
医療費控除の対象となる医療費は、目的が「治療」であるかがポイントです。
健康保険が適用されるか否かは問題ではありません。
治療を目的とした自由診療や先進医療も、一般的に支出される水準を著しく超えなければ、医療費控除の対象となります。
例えば、子どもの成長を阻害しないように行う歯列矯正や、治療目的で行われる大人の歯列矯正も医療費控除の対象となります。
しかし、美容目的で行われる歯列矯正は対象になりません。
視力回復を目的とした治療であるレーシック手術は医療費控除の対象になりますが、眼科で処方されるメガネやコンタクトレンズは視力を回復させる治療ではありませんので、医療費控除の対象になりません。
また、市販薬も治療目的の医薬品であれば対象となります。
風邪をひいて薬局で風邪薬を購入した、腰痛治療のために湿布薬を購入したなど医療費控除の対象となりますので、領収書は保管しておきましょう。
但し、酔い止めの薬やサプリメントなど、予防や健康増進を目的とするもの、医薬品でないものは対象となりません。
 
◆ 共働き夫婦、別居の家族の医療費は合算しない!
 
「自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合」に医療費控除を受けることができるとなっています。
夫婦ともに収入があっても医療費を分ける必要はありませんし、税制上の扶養に入っているか否かも問われません。
夫の扶養に入っていない妻の医療費を夫の医療費控除にすることもできます。
また、生計一とは同居という意味ではありません。
下宿している子どもの医療費など、別居の家族でであっても生計が一つであれば合算し、医療費を負担している方の医療費控除とすることができます。
 
◆ ワンストップ特例を利用した場合は、医療費控除の申告のみを行えばよい!
 
ワンストップ特例制度とは「ふるさと納税」の特例で、確定申告をせずに寄附金控除が受けられる制度です。給与所得者は寄附先が5か所以内であれば、この特例制度を利用する旨の申請書を提出することで、確定申告を行う必要はありません。
しかし、ワンストップ特例を申請していても、医療費控除など確定申告を行った場合には、確定申告が優先され特例を利用できなくなります。
従って、医療費控除の確定申告を行う場合は、ふるさと納税についての寄附金控除の申告も行う必要がありますので、ご注意ください。
 
いかがでしょうか?
対象になる医療費や申告の方法など勘違いしていたものはなかったでしょうか?
税金の知識は「知ってトクする」ではなく、「知らないとソンをする」ことが多いですね。
ご不明なことがございましたら、お気軽にお問い合わせ下さいませ。
 

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