手続きは簡単!決算期変更で節税?!

みなさまの会社の決算期は何月ですか?
決算期は設立の時に決めるものですが、十分に検討して決めた方、いわれるがままに決めた方、消費税のメリットを最大に享受するため、自然とその月になった方いろいろいらっしゃると思います。
 
この決算期。
会社設立時に決めたら変更できないと思っていませんか?
実は設立後も変更できます。しかも意外と簡単に。
 
今回は決算期の変更手続きについてご紹介します。
 
◆事業年度と決算期◆
「事業年度」・・・ 決算をするために設けられた一定の期間。
「決算期」 ・・・ 一事業年度の区切りの最終月。決算月。
 
会社は設立の際、決算期を自由に決めることが許されています。
1年以内の期間であれば、一事業年度を何月から何月までにしてもOKです。
「4月1日から翌年3月31日まで」を一事業年度としている会社は決算期は3月。
「10月1日から翌年9月30日まで」を一事業年度としている会社は決算期は9月。
これはご存知のとおりですね。
 
ちなみに、
事業年度の末日を必ず月末にしなければならない!ということもありませんので「3月31日まで」や「9月30日まで」ではなく、「3月15日まで」や「9月20日まで」とする会社もあります。
 
個人事業主は暦年単位なので、12月31日が一つの区切りとなっています。
 
◆決算期の変更手続き◆
事業年度変更は、登記事項ではないので、登記の手続きは不要です。
では、何をすればよいか。手続きとしては、
 
①株主総会を開催し、定款の決算期の部分を変更する決議をし、議事録にまとめる
②税務署へ届出を出す
 
・・・これだけです。細かく見ていきましょう。
 
①株主総会を開催し、定款の決算期の部分を変更する決議をし、議事録にまとめる
 法人の事業年度は、定款で決められています。
 この部分を希望の日にちに変更します。
 定款の変更は特別決議事項。
 多数の外部株主がいる会社でなければ比較的簡単に決算期を変更することができます。
 実際に開かなくても書面でのやり取りだけでも可能ですし、もちろん定時株主総会の際に一緒に決議しても大丈夫です。
 
②税務署へ届出を出す
 異動届出書に決算期の変更事項を記載して税務署へ届け出ます。
 添付書類は①で作成した議事録です。
 
 ここで注意!!
 
 『決算期は12ヶ月を超えられません』
  3月決算法人が決算を1ヶ月延長して4月決算に変更する・・・というようなことはできません。
  過去にさかのぼることもできませんので、決議がされた時点から未来に向かってのみ有効です。
 
 『決算を変更した期の確定申告の申告期限に注意』
  決算期を変更した場合、確定申告書の申告期限はその期間の末日から2ヶ月以内です。
  3月決算法人が2月に決算期を変更したら、申告期限は4月末です。
  今まで通り5月末に向けて準備をしていたら間に合いません。
  「3月31日まで」を「3月15日まで」に変更したら、申告期限は5月15日です。
  期限後申告になって青色申告が取り消された!
  なんて本末転倒の無いようご注意ください。
 
◆決算期変更 こんな人は、ご検討ください!◆
以下の項目に心当たりのあるかたは、一考の価値があるかもしれません。
 
①期末に大きな利益が見込まれる場合
 3月決算法人が、期末の3月に急な利益が発生することがわかったとします。
 このままだと、今期の利益が急増し、支払う税金が多くなってしまいます。
 これを2月決算に変更すると、3月分の利益は翌事業年度に持ち越すことができます。
 急激に増えた利益を翌事業年度に繰り延べただけ・・・なのですが、翌事業年度は事業年度の初めから大きな利益が把握できていますので、年度末までの一年間、余裕をもって節税対策を検討することができます。
 
②売上の季節変動が大きい場合
 極端な例でいうと、スキー場、海水浴場などでしょうか。
 売上が上がる月は、利益の予測が立てにくく、予想を上回る売上により利益が急増したり、予想を下回る売上で急に赤字転落・・・
 資金繰りも立てづらいですよね。
 売上に季節変動がある業種の場合、売上が上がる月は、期末を避け期首から事業年度の真ん中あたりにあると、事業計画も資金繰りも立てやすいです。
 
③納税の資金繰りが厳しい場合
 決算から2ヶ月後には、決算の申告期限とともに、法人税・消費税などの納付期限がやってきます。
 この時期は、通常業務よりも多くのキャッシュが必要になります。
 資金繰りの事を考えると、お金に余裕がない月の2ヶ月前の決算期は避けたほうがよいでしょう。
 
 お金に余裕がない月・・
 ・従業員にボーナスを支払う月
    ・納期の特例を受けている場合の7月や1月
    ・売掛金の回収が少ない月
    ・仕入れの支払いが多い月
 
④繁忙期と決算月が重なっている場合
 決算月から申告月にかけては、通常の会計業務に加え、決算業務が必要となります。
 在庫を出してくださいとか、〆後を出してくださいとか・・・そう、あれです!
 特に、商品数が多い小売や卸売りなどの業種は、商品などの在庫を数える「棚卸」という作業にものすごく時間が取られます。
 決算業務に手を取られ、本業に影響を及ぼすことがないように、繁忙期と決算月から申告月は重ならないほうがよいでしょう。
 
⑤役員報酬を変更したい場合
 事業年度の途中で役員報酬を増減させることは税務的にデメリットが大きいのは、ご存じのとおりです。
 決算期が到来するまでにまだ数ヶ月あるけれど、何とかして役員報酬を増減させたい場合・・・
 事業年度を変更すると、今月で今期は終了。
 役員報酬を変更したいがために決算期を変更することは、現実にはあまりないとは思いますが、決算期変更も一つの案です。
 
⑥消費税の免税期間を最長に
 設立時の資本金が1,000万円未満の場合、第1期目は、消費税の免税事業者となります。
 この期間が最長となるような事業年度にすると、この免税の恩恵を最大に受けることができます。
 
 消費税の免税点判定はとても複雑になりました。
(これだけで一つのテーマになりそうなので、詳細は割愛します。)
 
 結論から言うと、第1期を7ヶ月にすれば、最長1年7ヶ月間の免税期間を確保することができます。
 
◆決算期変更のデメリット◆
もちろんデメリットも存在します。
 
①申告・納税が前倒しに
 初年度は決算期が早まるため、申告期限、税金の納付期限は例年より早まります。
 
②経営分析が難しく
 経営分析は1年単位で行うため、前期比較等の分析が難しくなります。
 
③税理士報酬
 短い決算期の申告であっても、税理士への決算報酬を支払ことになります。
 
④総合的に判断・長期的に
 目先の税金だけを考えて変更すると、繁忙期と決算期がかぶる、消費税のメリットが享受できない等のリスクを伴う場合もあります。
 
 
いかがでしたか?
手続きは簡単!決算期変更ですが、メリットもあればデメリットも有ります。
会社の特性を考えて検討し、最大のメリットを取れると良いですね!
 
ご相談は、税理士法人Right Hand Associatesまで。
 

高い融資獲得率と豊富な実績がございます。お気軽にお問い合わせください。