ただ何となく天引きされていませんか?~改めて知っておきたい、住民税の基礎知識~

前回、住民税の納期の特例についてお話ししました。
 
一般的には今月(6月)のお給料より改訂された税額で徴収が始まる住民税。
お給料から控除される金額が減った、増えたと既に実感された方もいらっしゃるのではないでしょうか。
もしかすると、住民税の税額変更によるものかもしれません。
 
ほとんどの方が毎月お給料から控除されている住民税。
言葉はもちろん知っているけど、その金額はどう決まっているのか、支払った住民税はどこで、何に使われているのかなどなど住民税の基礎知識を改めてお話しします!
 
住民税とは、、
都・県や区市町村が行う住民に対する行政サービスに必要な経費を、住民の方々にその能力(担税力)に応じて広く分担していただくものです。
一般に、「個人都民税・個人県民税」と「個人区市町村民税」とをあわせて「個人住民税」と呼ばれています。
金額は、基本的に、前年の所得金額に応じて課税される「所得割」と所得金額にかかわらず定額で課税される「均等割額」から税額が決まります。
 
一口に住民税といっても、市町村民税(特別区民税)と道府県民税(都民税)の二つを指し、地方税法に基づき、区市町村が一括して賦課徴収していることから、一般的にこの2つを合わせて住民税と呼んでいます。
 
住民税には住民の方個人が納める個人住民税と会社等の法人が納める法人住民税がありますが、今回は主に、区市町村における個人住民税についてお話しさせていただきます。
 
(1)賦課基準
賦課年度の1月1日現在で居住している区市町村(原則として住民票の住所)で課税されます。
1月2日以降に他の区市町村に転出した場合でも、1月1日に居住していた区市町村で課税され、課税された区市町村にその年分の住民税を納めます。
賦課年度の1月1日現在に居住がない方でも、事務所や家屋敷を持っている方は「均等割」が課税されます。
※家屋敷とは・・・
自己または家族の居住の目的で、住所地以外の場所に設けられた住宅等で、いつでも自由に居住できる状態にあるものをいい、別荘やマンション等が該当します。
土地や家屋に課税される固定資産税とは性質が異なり、区市町村や都道府県が行う行政サービス(消防・防犯・道路等)の費用の一部を負担するというものです。
 
(2)納税義務者
東京都の場合、
・1月1日時点で都内に住所がある人→所得割と均等割
・1月1日時点で都内に住所はないが、事務所、事業所又は家屋敷のある人→均等割
(神奈川県の場合は「都内に住所がある人」が「県内に住所がある人」となります。)
 
ここでも先程と同様に、納付する区市町村は1月1日時点の住所で判断されます。
また、住民税は、国民年金など20歳を超えると納税義務が発生するものと違い、個人の所得によって判断されるので、未成年者の場合でも、所得によっては住民税が徴収されます。
 
(3)納税義務者でない人
①所得割・均等割とも非課税
 ア 生活保護法による生活扶助を受けている方
 イ 障害者・未成年者・寡婦又は寡夫で、前年中の合計所得金額が125万円以下
  (給与所得者の場合は、年収204万4千円未満)の方
 ウ 前年中の合計所得金額が区市町村の条例で定める額以下の方
 
 <東京都23区内の場合>
 ・控除対象配偶者又は扶養親族がいる場合
    35万円×(本人・控除対象配偶者・扶養親族の合計人数)+22万円以下
  ・控除対象配偶者及び扶養親族がいない場合…     35万円     以下
 
②所得割が非課税
  前年中の総所得金額が下記の額以下の方
  ア 控除対象配偶者又は扶養親族がある場合
     35万円×(本人・控除対象配偶者・扶養親族の合計人数)+22万円以下
  イ 控除対象配偶者及び扶養親族がいない場合…     35万円     以下
 
(4)納税額の計算方法
 ①所得割額
{(総所得金額+山林所得金額+退職所得金額)-所得控除(※1)}×税率(10%)(※2)
{ 分離課税となる所得金額-所得控除 }×税率
※1 所得控除は総所得金額、分離課税の所得金額、山林所得金額、退職所得金額の順で行います。
※2 内訳は居住地によります。東京都の場合は都民税4%、区市町村民税6%です。
 
 ②均等割額
  均等割額は、いわば住民税の基本料金部分であり、一律の額(標準税率は市町村民税3,500円・道府県民税1,500円)が課税されます。
 
住民税は、地域によって金額が違うと認識されがちですが。
所得割額、均等割のどちらに関してもそれほどの差はありません。
しかし、地域によっては標準税率や標準税額に市民均等割り額を上乗せしているところもあります。
お隣、神奈川県の横浜市がまさにそうで、「横浜みどり税」は横浜市独自のものとなります。
 
全国住民税額ランキングなども検索すればヒットするので、ご興味のある方は是非ご覧になってください。
 
さて、ここまで住民税のあらましをお話ししましたが、実際徴収された住民税は何に使われているのでしょうか。
 
さきほど紹介しました「横浜みどり税」ですが、「この税金は横浜市では、市域の緑の減少に歯止めをかけ、緑豊かなまち横浜を次世代に継承するために、「樹林地を守る」「農地を守る」「緑をつくる」の3つの分野からなる横浜みどりアップ計画の新規・拡充施策に取り組んでいます。
樹林地や農地の多くが私有地であることから、所有者による緑地の保有を支援し、相続等やむを得ない場合には買い取るとともに、市街地の緑化等を進めます。これらの施策を継続して実施していくためには、多くの費用が必要であり、安定的な財源を確保するために、平成21年度から「横浜みどり税」を実施しています。 」とあります。
 
このように、住民税は都道府県や市区町村が行う行政サービスに必要な経費を個々の担税力に応じて分担するという、地域の会費のようなものです。
怪我や病気の時に駆けつけてくれる救急車や、消防車を呼んだときにかかる経費、家庭ごみの収集にもこの住民税を含めた市民税が充てられています。
お買物と違って、支払った分が必ずしも個々に形になって戻ってくるものではないのでなかなか目につきにくいですが、ごみ収集が来てくれない、公園の花壇が雑草だらけ、、、となると、とっても困りますし、少し寂しいですよね。
 
しかし、毎月納付となると少し面倒だなあという方は、前回号でお知らせした納期の特例なども利用してみてはいかがでしょうか。

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