ストックオプションとは|会社や個人にとっての利点や発行の手続きについて

株式会社であれば「ストックオプション」の制度を導入し、優秀な人材の確保を目指すこともできます。

特に将来株式公開を検討しているなら役員や従業員に対するインセンティブを与えることができ、会社と個人の双方にとって利点のある制度となるでしょう。

当記事ではこのストックオプションの概要を説明し、導入にあたって必要となる手続きなど、大事なことをまとめていきます。

ストックオプションとは

ストックオプションとは新株予約権の一種で、そのうち役員や従業員など会社の事業に取り組む個人へ有利発行したものを指します。

※新株予約権は、会社に対して行使することで、当該会社の株式の交付を受けられる権利をいう。

 

ストックオプションが付与される対象に制限はなく、取締役などの経営に携わる役員や会社に雇われる予定の従業員、そのほかアドバイザーなどの社外の人材に対して付与するケースもあります。

導入する会社側の利点

ベンチャー企業など潤沢な資金が用意できない会社だと、大きな人件費のかかる優秀な人材を確保するのが難しいです。

 

しかし将来性があると見込まれていれば、ストックオプションの制度を導入してこれを付与することで人材が集めやすくなります。

ストックオプションがインセンティブとなるため、働いてもらうときに高額な給与・報酬を必ずしも支払う必要がなくなるのです。

 

特に運転資金が十分ではないスタートアップのフェーズでの活用が有効といえるでしょう。

付与を受ける側の利点

自分自身が会社の事業に関わり業績を伸ばしていくことで、将来株式を売却したときの利益が大きくなっていきます。

これがストックオプションの付与を受ける方にとってのメリットとなります。

 

例えば、ある方が契約と同時にストックオプションとして行使価額1,000円の株式を1万株購入する権利が与えられたとします。

事業が伸びて自社株が市場に公開できた後で、この株式を行使価額で取得。市場で売却すれば、値上がり分の利益を得ることができるのです。

ストックオプションの付与手続き

次のような段階を経て、ストックオプションを付与します。

 

1.新株予約権に関わる事項を決定する

2.募集事項を通知する

3.申し込みを受ける

4.株主総会で割当数などを決定

5.引受人による払い込み

 

手順に沿ってそれぞれ説明します。

手順①新株予約権に関わる事項を決定する

まずは新株予約権の内容、内容や数、無償・有償の別、払込金額、などを具体的に決めていきます。

 

原則的には株主総会の特別決議により定めることになっていますが、公開会社であれば取締役会決議で定めることが可能です。

手順②募集事項を通知する

次に、定めた新株予約権の内容についての通知または告知を行います。

 

ただしこれが必要となるのは公開会社の場合です。非公開会社であれば必要ありません。

手順③申し込みを受ける

新株予約権の引受の申し込みをしようとする者に通知(商号、募集事項、払込取扱機関を知らせる。)し、これを受け、引受をしようする方は次の事項を書面にまとめて会社へ交付します。

 

    • 申込者の氏名または名称
    • 申込者の住所
    • 引き受ける新株予約権の数

手順④株主総会で割当数などを決定

申込者からの交付を受け、会社が最終決断を下します。

 

引受人、割当数などを株主総会の特別決議によって決定させるのです。

ただし、公開会社や新株予約権に譲渡制限がついていないときは、取締役または取締役会が決定できます。

手順⑤引受人による払い込み

会社からの割当についての決定を受けたことで申込者は「新株予約権者」となりますが、有償発行の場合は所定の期日までに払込金額を全額支払わないといけません。

導入については専門家に相談

ストックオプション制度を導入して適切に運用することができれば、会社と個人の双方にとって良い効果がはたらき、事業の発展にもつながることでしょう。

しかしながら十分にその効果を発揮するには株式に対する知識が不可欠です。この制度を運用するのは簡単なことではありませんし、また、ストックオプションを付与する際にも株式公開に向けた計画や業績が向上する見込みについてアピールができないといけません。

 

そのためストックオプションの活用を検討するときは、税理士や公認会計士、弁護士、中小企業診断士などの専門家であって、さらに会社経営や株式の取り扱いに強い専門家に相談しましょう。ストックオプションを最大限活かすにはプロのサポートが欠かせません。

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