事業計画書作成のコツ| よくある問題や説得力を持たせるためのポイントを紹介

事業を成功させるためには、質の高いビジネスを考えるだけでなく、質の高い事業計画書を作成することがとても重要です。質の高い事業計画書を作ることで取引先や投資家などにも自社のプランが伝わりやすくなり、賛同者を獲得しやすくなるためです。

 

そのためには合理的なプラン内容、説得力のある計画書を作ることが重要になってくるのですが、簡単な作業ではありません。

 

事業計画書を作るうえで押さえておきたいコツを当記事にまとめましたので、これから事業計画書を作る方、あるいは作成した事業計画書を改善したいという方は、ぜひ参考にしてください。

よくある問題点・修正すべき点

作成された事業計画書によくある問題点、修正すべき点を把握しておくことで、作成作業も効率的に進められます。

 

いくつか紹介していきます。

 

一つは、事業の目的や事業ビジョンに関する記載欄にて「〇〇をしたい」という記載がなされているものの、なぜその分野を選んだのか、なぜそのビジョンで行こうと考えたのかが不明瞭なケースです。説明が不十分であったり、そもそも検討が十分になされていなかったり、といったことがあります。

 

また、技術力の高さやアイデアの良さをアピールしているケースもよくありますが、それが事業の成功とつながらなければ意味がありません。この点に関しても説明不足あるいは検討が十分にできていないことがありますので注意しましょう。

 

競合との競争における優位性も重要な観点ですが、その十分な説明と根拠にも意識を向けましょう。ありきたりな比較をしているのみで、今後自社製品・サービスがどのようにリードしていくのか、勝つための仕組みが十分に説明できていない例も多いです。
根拠が薄弱という点では売上や利益計画に関しても同じことがいえます。今後の予測が当てずっぽうになっており、消費者ニーズや消費行動のパターンを十分に分析できていないと印象は良くありません。

説得力や合理性のある事業計画で大事なこと

合理性、説得力のある事業計画を立てるには、仮説を立てて、検証し、客観的な評価に基づいて計画を練っていくことが大切です。複数人のメンバーがいるのなら、徹底的な議論を行うべきです。

 

そこで次のような点について仮説を立てるなどして、十分な分析を行いましょう。

 

        • 事業ビジョンと達成までのステップ
        • ターゲット市場と成長性
        • 顧客のニーズ
        • 競争に勝つ自社ならではの優位性
        • 資金繰り
        • 売上や利益の見込み など

 

これらに関して客観的なデータを集め、必要に応じてインタビューなども実施して、仮説を検証していきます。検証結果を受けての仮説の修正、そして再び検証・・・の流れを繰り返して整合性のある事業計画を立てていくのです。

 

なんとなく思いついたアイデア、やりたいことを事業計画書として殴り書きしていくのでは質の高いものは作れません。数ヶ月以上の期間をかけてでも、とことん追求していくことで、説得力・合理性のある事業計画書に近づけることができます。

事業計画書の項目別のポイント

事業計画書にフォーマットの決まりはなく、各社好きな形で作ることができます。ただし、構成にあえてオリジナリティを持たせる必要はありませんし、中身の質が良ければ問題はありません。

 

よくある構成、記載項目は次のようなものです。

 

 

項目 概要
サマリー 事業計画の概要を記載
略歴 主要な経営陣の経歴、過去の実績などを記載
事業ビジョン 目指すところ、そのためのステップを記載
商品・サービス この事業で何が提供されるのか、また、どのように収入を得るのか(ビジネスモデル)を記載
ターゲット市場 どの分野をターゲットとしているのか、また、その市場がどのように成長しているのかを記載
顧客の特性・ニーズ どのような特性を持つ顧客をメインターゲットとするのか、その顧客はどのくらいお金を使うのかを記載
市場での優位性 競合他社に勝つための戦略、競合他社より優れているところを記載
事業の見通し 売上・粗利のシミュレーションを行い、試算結果を記載

 

各項目で押さえておきたいポイントを以下で簡単に説明していきます。

サマリー

読み手が全体像を掴めていた方がその後読み進める際の理解がはかどります。

 

人は最初の印象に考えが引っ張られる傾向を持つため、サマリーの段階で「勝てるイメージ」を持ってもらうことが大切です。

 

また「十分に練られた計画だ」という印象も大事です。独自の優位性があること、ターゲット市場や顧客特性が捉えられていること、競合の状況が把握できていること、などもここに示しておきましょう。

略歴

代表者や同じメンバーの略歴は、直接事業に関わることではありませんが、事業計画書の説得力に影響してきます。

 

「過去に多くの会社を立ち上げてきた」「すでに成功している会社の経営者」など、創業者の経歴によっては安心感を与えることができるでしょう。ただし実績や強みに関して、今回の事業との関連性を示せていることが重要です。

 

もしアピールできるような実績がなくても、事業を成功に導く自信や業務の経験について“第三者からの共感”が得られるように書くことができれば印象としてはプラスです。

事業ビジョン

事業ビジョンを聞いた第三者が、「共感や納得をできか」「わくわくするか」「存在意義があると思ってもらえるか」「応援したい気持ちが湧くか」に意識して書きましょう。

 

そして大きな目標に対してどう実現をしていくのか、現実感のあるステップを提示します。

 

ステップ①・ステップ②・ステップ③、などと段階的な目標達成を打ち立てますが、ステップ①は特に確実に踏み出せそうな内容としましょう。ここが飛躍していると現実感が薄れてしまいます。

商品・サービス

これから始める事業で取り扱う商品やサービスについての詳しい説明をしましょう。その際文章だけで表現する必要はなく、図・写真なども積極的に使って視覚的にわかりやすく説明します。

 

また、当該商品やサービスが従来のものとどう違うのか、差が素人でもはっきりとわかるように示しましょう。

 

ただし商品の質や技術などが優れていることだけをアピールするのではなく、「それが収益にどうつながるのか」についても考えられていないといけません。どのようにして大きな利益が生まれるのか、根拠やメカニズムも図示するなどしてわかりやすく伝えます。

ターゲット市場

この事業がターゲットとする市場はどこかを具体的に記載します。またその市場について十分に調査し、①市場規模、②収益性、③競争状況などを分析しておきます。

 

自社が関与する分野A・B・C・Dがあるとしましょう。それぞれにつき①②③を評価し、総合評価をつけます。そして各分野に対する自社の強みを評価することで、特に注力すべき分野が見えてきます。
単純にいえば、「総合評価が高く事業としての魅力が大きな分野」かつ「自社が強みとする分野」はもっとも注力すべきです。逆に「総合評価が低く事業としての魅力が小さい分野」かつ「自社があまり強みとしない分野」については優先順位が低いといえます。

顧客の特性・ニーズ

ターゲットとなる顧客の持つ切実なニーズとは何かを捉えて、どんなことにどれだけお金を使ってくれそうかを具体的に記載します。

 

良い商品・良いサービスというだけではなく、顧客から見て魅力的なものを提供することが重要であるため、そのニーズを掴むためによく分析しなくてはなりません。
技術力などに自信があっても顧客に対する理解が甘いケースも多いため要注意です。

市場での優位性

素人目に見ても「競合に勝てそうだ」と納得できるような優位性が必要です。ただユニークな戦略を立てるだけだとその後模倣をされて同じようなサービスが出てくることも考えられるため、参入時に勝つだけではなくその状態を維持し続けられるような根拠を提示しましょう。

 

場合によっては知的財産への対策も必要となりますので、「知的財産についても対策ができているな」と思わせるような記載をすることが大切です。

事業の見通し

今後の事業の見通しを、売上や粗利のシミュレーションによって示しましょう。

 

記載する金額に根拠は必要ですが、厳密な数字そのものをあまり重視する必要はありません。あくまで予測であるため、1円単位で細かく見ることに意味がなく、それよりも振れ幅が適切に把握できていることが大事です。

 

例えば次の3パターンで試算を行います。

 

  1. 実現可能性が特に高いと思われるベースケース
  2. 立ち上がりがとても順調にいった場合のケース
  3. 立ち上がりが遅れたケース

 

それぞれの場合に予測される市場シェアや売上台数等、売上高、粗利益などを示すことでおおむねどのように事業が展開していくのかが見えてきます。

 

多くの場合初年度の売上を楽観的に予測してしまっているため、経費の過少な見積り、売上数の課題評価などをせず、厳しい目線でシミュレーションを行いましょう。

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