合同会社と株式会社は何が違う?それぞれの特徴や良さを比較して紹介

ビジネスを始めるには個人事業主として活動を始めることもできますし、法人を設立して組織として活動を始めることもできます。

法人の場合は「株式会社」を設立する例が多いですが、近年は「合同会社」でスタートする例も増えてきています。

 

どちらを選択しても同様にビジネスを始められますが、経営の方法などに違いがあります。

当記事で両者の違いを紹介していきますので、会社の種類を選ぶときの参考にしていただければと思います。

 

 

合同会社とは

合同会社は出資者と経営者が一致する持分会社でありつつ、株式会社のように社員が出資額の範囲でしか責任を負わないという性質も持ち合わせています。

 

合同会社はその存在が誕生してからまだ年数が浅く、主流の会社とまでは認識されていませんが、それでも有名企業が合同会社として活動する例も増えており年々認知度を上げてきています。

 

合同会社の特徴

合同会社の特徴については次のようにまとめられます。

 

経営と所有が一致している

合同会社では所有と経営が一致する。

そのため出資者は原則として経営に携わり、より組織の一体感は強まる。

出資者の責任が有限 合同会社の出資者は出資額の範囲でしか責任を負わない。他の持分会社である合名会社は全社員が無限責任、合資会社では有限責任社員と無限責任社員が混在しており、これらのどちらとも異なる性質を持つ。
経営の自由度が高い

合同会社では定款で自由に定めることができる事項が株式会社より多く、経営の自由度も高い。

例えば利益配分についても自由に基準を定めることができるなど、事業形態や運営方法に合わせて柔軟に経営を行うことができる。

 

合同会社の良いところ

合同会社の良いところを3つ挙げると次のように整理できます。

 

●設立コストが低い
合同会社は株式会社に比べて設立手続が簡易であり、費用面でも低コスト。

例えば定款の認証を受けるための手数料が不要で、設立登記の登録免許税も最低額が6万円と低く目に設定されている。

 

●素早い意思決定ができる
合同会社では所有と経営が一致しており意思決定がスムーズ。いったん株主総会を開いて多数の賛成を得るなどの手間も不要。

経営者がどんどん方針を決めていける。

 

●ランニングコストが低い
合同会社は設立時のみならず、その後の企業活動でかかるコストも比較的安い。例えば決算公告が不要で、その際の手間や費用がかからない。

役員の任期もないため一定期間ごとに役員の選任・再任手続や、登記などの手間と費用もかからない。

 

 

株式会社とは

株式会社は出資者である株主から出資を受けて設立される会社です。出資は「株式」の発行により行います。

 

そして出資者である株主は社員となりますが、出資額の範囲でしか責任を負わないという特色を持つため、出資額以上の損失を被ることはありません。

また、株式の発行を広く行うこと、特に上場によって市場取引を可能とすることで莫大な資金を得ることも可能な会社です。

 

また、株式会社には株主総会、取締役が必須で、経営者は取締役として就任します。

その他、取締役会、監査役、監査役会、会計参与などの機関を設けることもできます。

 

株式会社の特徴

株式会社の特徴については次のようにまとめられます。

 

出資者の責任が有限 株式会社の出資者は、出資額の範囲内でしか責任を負わない。そのため会社が倒産することになっても出資者は個人的な財産を会社債権者に差し押さえられることは通常起こらない。
株式の発行で資金を調達する 株式会社は株式を発行して資金を広く募ることができる。個人で事業を行う場合に比べて規模の大きな資金調達もしやすくなる。ただし議決権のバランスについては考慮する必要がある。
所有と経営が分離している 株式会社では所有と経営が分離している。経営を担うのは取締役、所有者となるのは出資者である株主。そのため経営者だからといってすべての意思決定をできるわけではなく、株主総会により株主の意見を聞く必要がある。なお、中小企業では取締役が株主も兼ねていて実質は所有と経営が一致しているケースも多い。

 

株式会社の良いところ

株式会社の良いところを3つ挙げると次のように整理できます。

 

●社会的信用が高い
株式会社は個人事業主や合同会社と比べて対外的な信用を得やすい傾向にある。株式会社だというだけで大きな信頼がおかれるわけではないが、合同会社より認知度が高いということ、個人事業主より厳格な手続を経て設立されていることなどから、取引に際しても比較的信用を得やすい。

 

●事業承継がしやすい
株式会社の意思決定権は株式にあるため、これを譲渡すれば事業承継が実行できる。

規模の小さな会社だと代表取締役が大半の株式を持っている場合も多く、これを後継者に譲渡する形で事業承継が行われる。

 

●大規模な資金調達ができる
株式を発行することで株式会社は資金調達ができる。

融資や補助金・助成金などの手段に加え株式発行が加わり、それも世界中の投資家を相手に資金調達が実行できる。それを受けてより事業の拡大が図れる。

 

 

株式会社と合同会社の違いを比較

株式会社から合同会社、合同会社から株式会社への変更も後から行うことは可能です。しかし非常に手間であるため、頻繁に行うような行為ではありません。

会社を設立する段階で両者の違いや共通点を比較しておき、適切な選択をしておくべきです。

 

両者の主な違いについて下表で整理します。

 

株式会社 合同会社
概要 出資者から出資を受けて設立される会社 出資者と経営者が一致する会社
出資者 株主 社員
経営者 取締役 社員
出資者の責任 有限責任 有限責任
経営と所有の関係 経営と所有が分離している 経営と所有が一致している
意思決定の方法 株主総会 社員全員の同意
役員の任期 取締役は原則2年 任期の制限なし
運営の自由度 低い 高い
設立費用 高い 安い
社会的認知度 高い 低い

 

株式会社は規模を大きくしたい場合に適していますが、ごく小規模な組織として設立しても問題ありません。

逆に合同会社は規模が小さい仲間内での起業に適していますが、Amazon社やGoogle社、Apple社のような大企業も合同会社として存在しています。

そのため規模が大きくなると経営が難しくなるというわけでもありません。

 

どちらを選択すべきか悩むときは専門家のアドバイスも求めると良いです。起業についてサポートを行っている士業、税理士や司法書士などが頼りになります。

設立登記に関しては司法書士に依頼することができますし、設立費用やその後の課税の問題、節税対策のことなどは税理士に相談することができます。

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