相続税を申告するまでの手続きと期限、必要書類について

相続が発生してから相続税の申告までには、さまざまな手続きが必要となります。当記事では時系列に沿って必要な手続きと準備すべき書類について詳しく解説していきます。

相続開始直後の手続き

相続人にとって最初に行うべき手続きは「死亡届の提出」です。

 

これは法律で定められた重要な手続きであり、死亡を知った日から7日以内に行う必要があります。亡くなった方の本籍地か死亡地の市区町村役場に提出しましょう。

 

また、この時期には葬儀の手配も並行で進めていくことになります。葬儀社との打ち合わせ、親族への連絡、職場への報告など、多くの対応が求められます。

熟慮期間内(3ヶ月以内)の手続き

相続は相続人の義務ではありませんので、相続することを受け入れる(承認、または限定承認)か、これを認めない(相続の放棄)か、選択することができます。

 

ただしその検討ができる期間は次のように3ヶ月と決められています。

 

相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

引用:e-Gov法令検索 民法第915条
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

 

この期間を「熟慮期間」と呼んでいます。適切な判断を下すためにも、この期間内に各種調査を進める必要があります。

各種調査

相続開始後、まず確認すべきは「遺言書の有無」です。
遺言書がある場合は、その内容に従って相続手続きを進めることになります。自宅での保管しているケースのほか、法務局での保管制度も利用されているケースがありますし、公証役場で保管しているケースもあります。各所をチェックしていきましょう。

 

次に、「相続財産の調査と評価」を行います。これには例えば以下のような項目が含まれます。

 

  • 不動産(土地・建物)の評価額の確認
  • 預貯金や有価証券などの金融資産の把握
  • 生命保険金の確認
  • 負債(借入金等)の確認 など

 

また、「法定相続人の確定」が必要で、そのために戸籍謄本を取得する必要があります。亡くなった方の出生から死亡までの戸籍をすべて集めていきましょう。

相続放棄等の検討

「相続放棄」とは、相続人が相続を受けない選択をすることを意味します。

 

例えば借金が多いケースなど、相続を受けることが不利益となる場合に検討します。相続放棄をすることにした場合は、家庭裁判所への申述が必要で、熟慮期間が経過する前に手続きを行わなければなりません。

 

なお、いったん相続放棄の申述をしてからこれを撤回することは原則としてできませんので、しっかりと調査を進めてから判断することが大事です。

相続税申告(10ヶ月以内)までの手続き

すべての方の義務ではありませんが、一定以上の財産を相続したときには相続税の申告および納付が必要となります。この申告・納付の期限は相続開始を知った日の翌日から計算して10ヶ月以内であり、それまでに相続分などを確定させる必要があります。

遺産分割協議で相続分を確定させる

相続人全員で話し合いを行い、誰がどの財産を相続するかを決定します。これを「遺産分割協議」と呼びます。

 

協議が整ったら、その内容を「遺産分割協議書」として書面にまとめ、各相続人が実印を押印します。

相続税の申告・納付の準備

各自の取得分が決まれば、相続税の申告が必要かどうかを確認しましょう。相続税法に則り、複雑な計算をしなければなりません。

 

まず申告の要否に関しては、各自が取得した財産の価額を合計し、その総額が基礎控除額を上回るかどうかで判別が可能です。少なくとも取得価額の総額が3,000万円以下であれば基本的に申告は不要です。

 

もし申告が必要なら、以下の書類を取り揃えて期限までに税務署に提出しましょう。

 

  • 相続税の申告書各種
  • 財産の評価額を証明する書類(固定資産評価証明書など)
  • 債務や葬式費用の証明書類
  • 遺産分割協議書の写し(遺言書があるときはその写し)
  • 各相続人の戸籍謄本や印鑑登録証明書 など

 

なお、相続税は一括での納付が原則ですが、納税が困難な場合は延納や物納の制度を利用することも可能です。これらの制度を利用する場合は、申告期限までに申請しなければいけません。

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