税理士試験ってどんな試験?

去る8月6日、7日、8日に税理士試験が実施されました。弊法人からも10名弱が受験に臨みました。今年の結果はいかに?合格発表は11月29日。およそ4か月も待たされることになるのです。試験の実施は通例毎年8月の年1回のみとなっています。さて今回はそんな税理士試験の概要についてお話させて頂きます。

 

1、試験科目概要
試験科目は大きく分けて【会計科目】と【税法科目】に大別されます。会計科目は「簿記論」と「財務諸表論」の2科目から構成され、税法科目は「所得税法」・「法人税法」・「相続税法」・「消費税法又は酒税法」・「国税徴収法」・「住民税又は事業税」・「固定資産税」の9科目から構成されます。
税理士試験は科目合格制が採用されており、全11科目のうち5科目合格することで晴れて税理士試験の合格となります。また、一度に5科目を受験する必要はなく、1科目ずつ受験してもよいことになっています。
ただし、どの科目でも自由に選択できるわけではなく、会計科目の2科目は必須科目として必ず選択する必要があります。また税法科目のうち「法人税法」又は「所得税法」のいずれか1科目も必ず選択する必要があります。
逆に言えば合格までの間に一度も学習しない税法科目も存在することとなります。また「印紙税」や「事業所税」など試験科目自体存在しない税目もあります。税理士よって専門分野・得意分野が異なっているのは、こういった試験制度もその一因となっているのかもしれません。

 

2、試験科目詳細
【会計科目】
・簿記論
全て計算問題で出題されます。いわゆる簿記の問題です。単純な仕訳問題から、総合計算問題まで多岐にわたり、難易度が高い印象です。簿記1級で簿記論の90%の範囲がカバーさていると言われていますが、検定試験とは違い重箱の隅をつつくような問題も見受けられます。
・財務諸表論
簿記論以外は計算問題と理論問題から出題されます(国税徴収法は理論問題のみ)。財務諸表論の計算問題は、財務諸表の作成に関するものとなります。簿記論では試算表の作成がメインですが、その後工程として決算書を作成するイメージです。理論問題は、企業会計原則・企業会計の諸基準等について記述式で出題されます。試験科目の中では一番難易度が低い印象があります。
【税法科目】
・計算問題
税法科目の計算問題は該当科目の申告書の作成に関するものです。基本的には与えられた条件から該当科目の税務申告書を作成できればクリアです。納付税額の計算や課税所得金額の計算問題が出題されます。科目によっては最終税額まで正解が求められるものもあれば、最終税額まで正解するのは時間的にほぼ不可能な科目も存在します。なお試験時間は会計科目も含め全科目2時間となっています。
・理論問題
税法科目の理論問題は該当科目の法令に関する事項のほか、措置法や国税通則法など他の関連法令も出題範囲に含まれます。そしてその膨大な条文(理論)の暗記が必要になります。しかも単純に条文を丸暗記すればよいわけではなく、応用力も試されます。試験内容としては、実際の税務相談を想定し、それに対する回答を条文の根拠を示しながら記述するといったスタイルが最近の主流です。
・難易度とボリューム
最難関税目は所得税法・法人税法です。勉強時間の目安はおよそ600~700時間と言われています。次にボリュームが多いのは相続税法で勉強時間の目安はおよそ500時間。その他の科目はミニ税法とも呼ばれており、勉強時間はおよそ200~300時間と言われています。科目によってそれぞれ特徴があり、自分にあった科目や実務に生かせる科目を選択する受験生もいれば、合格を一義に考え勉強時間が少なくて済む科目を選択する受験生もいるようです。

 

3、受験資格
【会計科目】
会計科目については、受験資格の制限がないため誰でも受験可能です。
【税法科目】
税法科目については、学識、資格、職歴といった何種類かの受験資格が定められており、いずれか一つの要件を満たせば受験することが可能となります。
(1)学識による受験資格
・大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、社会科学に関する科目の1科目以上履修した者
・大学3年次以上で、社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得した者
※その他の要件は割愛します。詳細は下記国税庁HPをご確認ください。
(2)資格による受験資格
・日商簿記検定1級合格者
・全経簿記検定上級合格者
(3)職歴による受験資格
・法人又は事業を行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者
・税理士、弁護士、公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者
※その他の要件は割愛します。詳細は下記国税庁HPをご確認ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/shikaku/shikaku.htm

 

4、合格発表について
・官報合格5科目の試験科目にすべてに合格すると合格発表の日に官報に受験地・受験番号・氏名が掲載されます。そのため通称「官報合格」と呼ばれています。
・科目合格
1部の科目に合格すると合格発表の日に合否の通知書が郵送されます。

 

以上が税理士試験の概要です。皆さまどんな印象を持ちましたでしょうか?個人的には税理士試験は古臭い形式を維持しているなと感じています。IT化さらにはAI全盛のこの時代に、条文を丸暗記しないといけないとは。。どうにかならんものか・・・。
https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/zeirishi.htm

高い融資獲得率と豊富な実績がございます。お気軽にお問い合わせください。