相続税が気になったタイミングが始め時|今からできる対策と時期別の要点

想定外に大きな相続税が発生すると、納税資金の問題に困ることがあります。あるいは相続税対策を考えておらず「もっと早くに取り組んでおけば良かった」と後になって思うケースもあります。

こうした後悔のないよう、今時点からどんな備えをしておくと良いのか、相続税対策の基本を整理しましょう。

 

相続税のおおまかな負担

相続税は基礎控除の額が比較的大きいという特徴があります。

 

基礎控除額 = 3,000万円+600万円×法定相続人の数

 

法定相続人の数 基礎控除額
1人 3,600万円
2人 4,200万円
3人 4,800万円
4人 5,400万円

 

そこで配偶者と子2人(計3人)が法定相続人となる場合、4,800万円を基礎控除として適用できますので、遺産の合計がこれを下回れば相続税は原則かかりません。

 

一方でこの基礎控除額を超えてくると、税率10%~55%で負担が発生してきます。結果的に数百万円から数千万円、あるいはそれ以上の納税資金が必要になることもあるのです。

※厳密には法定相続分で分割した上で税率を適用するなど複雑な計算を要する。

 

相続税の対策は「いつ始めるか」が重要

相続税対策の中でも、基本的かつ着実な効果が得られる手法として「財産を生前に少しずつ移しておく(生前贈与)」ことが挙げられます。

 

ただ、これは時間のかかる手法ですし、亡くなる前7年以内に行われた生前贈与に関しては税金の計算上相続財産に含めることとされています。そのため亡くなる直前に慌てて贈与しても効果が薄いという点は理解しておかなくてはなりません。

 

亡くなる直前や相続発生後でも有効な工夫

相続発生後でも取れる手段はあります。ただしその多くは次のように「分け方や特例を有効活用して税負担を減らす」というものであり、課税対象そのものを減らす手段は使えなくなります。

 

配偶者控除の活用 配偶者の相続した財産に関しては、法定相続分または1億6,000万円のいずれか大きい金額まで相続税がかからない特例がある。

ただし、二次相続に負担が偏る点には注意。

小規模宅地等の特例の活用 被相続人が住んでいた自宅の土地を一定要件のもと、評価額を最大80%減額できる。

ただし、取得者の要件(同居していたかどうかなど)が厳格で、相続発生後に知っても適用できないケースがある。

遺産分割の仕方の工夫 誰がどの財産を取得するかによっても変わってくるため、遺産分割の仕方にも留意する。

不動産の取得方法(換価分割とするのかどうかなど)も納税資金の問題に関わってくるため要注意。

 

生前に取り組める主な対策

相続が始まる前にできる基本的な備えとしては次の内容が挙げられます。

 

毎年110万円以内での贈与

1年間に受け取った贈与が110万円以内であれば、贈与税の基礎控除により負担が発生しません。

 

そのため毎年繰り返し贈与することで、財産を次の世代へ税負担なく移していくことが可能となります。

 

ただ、前述のとおり亡くなる前7年以内の贈与は相続財産へ加算されてしまいます。前3〜7年前の贈与に関しては総額100万円まで加算されないものの、早期に開始することの重要性が高い対策といえるでしょう。

 

不動産の活用

現金をそのまま持っていると相続税評価額も額面のままですが、不動産に換えると評価額が下がる傾向にあります。

 

土地は「路線価」、建物は「固定資産税評価額」で評価される仕組みになっており、通常は市場価格よりも低い額になるためです。

 

さらに賃貸物件として活用すると評価額がさらに下げられます。ただし、不動産を過度に活用した節税策については税務当局が否認する事例もあるため、慎重に対応すべきでしょう。

 

生命保険の活用

被相続人が被保険者および保険料負担者と定めていた場合、相続人が受け取った死亡保険金には相続税が課税されるのですが、「500万円×法定相続人の数」という非課税枠が利用できます。

 

生命保険の利用で節税効果が得られる同時に、相続人の納税資金を確保することにもつながります。

※相続人以外が受け取ると非課税枠の対象外となることに注意。

 

相続時精算課税制度の活用

累計2,500万円まで贈与税が課税されず、その分を相続税の課税で処理できる「相続時精算課税」の制度があります。

※60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与に限るなど適用要件がある。

 

この制度の適用を受けると、原則として贈与財産は相続時に相続財産へ持ち戻されるため、相続税の総額を大きく下げる効果はあまり期待できません。
ただし、同制度によって移した財産は「贈与時点の評価額」を前提に相続税の計算が行われるため、その後資産価値が上昇した分については追加の相続税がかからない形になります。

 

将来値上がりが見込まれる不動産や株式などについては、評価時期の固定という観点から一定の効果が期待できる制度として知っておいて良いでしょう。

 

なお、ここまで紹介した手法が実際にどれだけ効果的かは、保有する財産の種類・規模・家族構成によっても変わります。自己判断での対策は誤った方向に進むリスクもあるため、税理士への相談が推奨されます。

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