嫌われ者(?)の法人税を、優し~く解説してみました
昨年パナマ文書で話題になったタックスヘイブン。
日本は法人税が高い!企業が海外に流出しないよう、税率を下げるべきだ!
なんて議論もずいぶんニュースになりました。
実際、法人税の実効税率を20%台へとのスローガンはよく聞きますね。
とはいえ正直、ニュースで聞く数字と、自分が納付している税金の率はちょっと違うような、、
そもそも一言で法人税と言っても、一体、どこに何を納めているのかもよく分からない。
結局、国にいいように持っていかれるんだ、と感じていらっしゃいませんか?
今日は少しでもそんな嫌われ者の法人税に親近感?を覚えて頂ければと思います。
●法人税の種類
法人税は大きく区分して3つの税があります。
(1)は国税で、税務署に納めるもの。
(2)(3)は地方税で、都道府県や市区町村に納めるものです。
(1) 法人税
(2) 住民税
(3) 事業税
前述の「実効税率」は法人の税負担を理論的に数値化したもので、実際の納付額とは異なりますので、所得(≒利益)が100万円出た資本金1000万円以下の法人を例に、具体的に何をどこにどのくらい納めるのか、見ていきましょう。
●法人税
法人税は以下の2つがあり、所得金額から税額が算出されます。
(1)法人税
(2)地方法人税
(1)法人税
いわゆる国の財源です。
シンプルに所得に対して法人税率(23.4%)をかけますが、中小法人の場合は軽減税率の特例により、800万円まで15%となります。
20年前は、なんと37.5%(中小企業で28%)でした。
《所得(≒利益)100万円の場合》
100万 × 15% = 15万円
(2)地方法人税
「地方」とつくのに、国税とはこれいかに?
いいえ。都心と地方では税源に偏りがあるため、地方交付税の財源を確保するための国税なのです。
地方のために使っている国税なんですね。
法人税額×4.4%で計算します。
《所得(≒利益)100万円の場合》
15万 × 4.4% = 6,600円
●住民税
住民税は、個人でも納めているものなので身近ではないでしょうか。
法人の場合は、事業所がある地方自治体毎に納付します。
個人でも法人でも、道路も使えばゴミも出すので、比較的、納得感のある感じがします、、よね?
住民税には、次の2つがあります。
(1)法人税割(利益に比例してかかる部分)
(2)均等割(規模や従業員数に応じてかかる部分)
(1)所得割
自治体によりますが、東京都の場合は法人税額×12.9%
《所得(≒利益)100万円の場合》
15万 × 12.9% = 19,300円
(2)均等割
東京都内に事務所をもち、資本金1,000万円以下、従業員数が50名以下の場合
70,000円
●事業税
事業税は、都道府県に納付する税金です。
行政サービス(福祉・教育・警察・防災等)を使っている分、利益を地方にも還元してね、という主旨になります。
他の二つと大きく異なるのは、税金であるにもかかわらず、翌期の費用にすることができるという点です。
事業税は次の2つに区分されますが、(2)は暫定的なものでH29年に廃止されるため、説明は省きます。
(1)事業税(=所得×3.4% ※東京都•所得が400万以下)
(2)地方法人特別税(=事業税×43.2%)
《所得(≒利益)100万円の場合》
100万 × 3.4% = 34,000円
34,000円 × 43.2% = 14,600円
●納付額の合計額は??
①法人税 150,000 + 6,600
②住民税 19,300 + 70,000
③事業税 34,000 + 14,600
————————————————
294,500円
所得(≒利益)100万円に対して、だいたい3割くらいでしょうか。
●残念ながら赤字の場合は、、、
多くが所得(≒利益)に対して課税されるので、赤字の場合に納付が必要なのは、(2)法人住民税の均等割のみになります。
いかがでしたか?
やっぱり細かくて複雑!という声も聞こえてきそうですが(汗)、ずっとお付き合いしていかなければならない税金ですから、なんとなくでもイメージをもって頂けたなら幸いです。
税率は都度改正もあり、自治体、資本金額、従業員数等の条件にもよりますので、それぞれのケースに応じた算定は、ぜひご相談ください!
投稿日:2017/5/12
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