会社の設立にかかった費用で節税?~繰延資産「創立費」について~
2021年も後半に入り、1年前に比べると、法人設立に関するご相談も頂くようになってきました。
そこで今回は、会社を設立する時にかかる費用「創立費」と節税についてです。
【繰延資産「創立費」とは】
支払いもサービスも済んでいるものの、効果が支払い後何年かにわたる支出は[pcbr]「繰延(くりのべ)資産」と呼ばれます。
減価償却する固定資産同様、繰延資産も支払い時の費用にせず、[pcbr]資産にして「繰り延べる(分割して費用にする)」ことになります。
繰延資産は2種類あり、会計のルールに基づく繰延資産と、[pcbr]税法が独自に定めている繰延資産があります。
会社設立の費用「創立費」は会計上の繰延資産の一つで、[pcbr]税法独自の繰延資産と異なり「任意償却」ができる点がポイントです。
【税金計算と減価償却】
減価償却費には税法上は色々と制限があり、年数も決められています。
たとえば会社で、プレハブ小屋を70万円で建てた場合、建てた年に70万円が費用になることはなく、[pcbr]7年間、毎年10万円ずつ費用にしていくことになります。[pcbr]7年間分割して費用にすることで、その7年間それぞれの年の利益が、[pcbr]より会社の『実力』に近い数字になります。これが減価償却です。
減価償却する年数は物により法令で細かく定められており、この年数を法定耐用年数といいます。
例えばプレハブ小屋が7年とされているのは、条文の「建物」の中でも[pcbr]「簡易建物」の「掘立造のもの及び仮設のもの」に該当するためです。
減価償却は法定耐用年数より長くても短くても結果的には損をすることになります。
仮に、プレハブ小屋を10年ほど使用できるとしても、実際に10年分割で費用にすると、[pcbr]7年分割の場合より費用が減るため、最初の7年間の税金が高くなります。
逆に、プレハブ小屋は5年程度しか使えない、と考えて毎年14万円を費用にしても[pcbr]税金計算上は14万円のうち、1年あたり10万円しか費用とされません。
費用にならなかった部分は6年目以降に回され、[pcbr]7年間トータルの税金への影響は7年で減価償却する場合と同じになります。
結果として「5年間利益を低く見せただけ」になってしまいます。
【繰延資産は「任意」償却!?】
減価償却費は上述のように、毎年一定の金額までしか税金を減らすことができません。
それに対して、創立費など会計のルールに基づく繰延資産は、[pcbr]「任意償却」と呼ばれ(まだ償却していない金額の範囲内で)任意の金額を償却できる[pcbr]特長があります。
たとえば、創立費が70万円のとき、次のような考え方ができます。
①設立後5年間は利益が多めに見える処理をしたい場合
→70万円を5年間に分割して14万円ずつ費用にすることができます。
法人税など利益にかかる税金の税率を合計すると、東京都23区の場合およそ26%です。
創立費償却で8万円費用が増え、税引き前の利益が100−14=86万円
税金は86×26%≒22万円になります。
②設立後1期目から100万円利益が出ると分かり、税額を抑えたい場合
→70万円を全額費用にすることができます。
すると、税引き前の利益が100−70=30万円
税金は30×26%≒8万円になります。
繰延資産の任意償却を使うと会計処理の違いだけでこれだけの差が出せます。
また実際に任意償却を行う際に必要なのは、申告書に専用書類を添付することだけで、
事前に届出書類を提出する必要が無い点も魅力的です。
なお、任意の金額とはいえ、創立費は設立から5年以内に全て償却する必要があるためご注意ください。
【まとめ】
会社設立の費用(創立費)を「繰延資産」にすることで有利な処理ができるかも、[pcbr]というのが今回の内容でした。
実際に法人を設立する際は更に多面的にサポートさせて頂きます。
会社の設立をお考えの際は、ぜひ設立前から税理士も巻き込んでご相談ください!
投稿日:2021/11/10
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