劇的!!インボイス制度緩和措置

皆さんもすでにご存じかと思いますが、来年の10月1日よりついに適格請求書保存方式(いわゆるインボイス制度)が導入されます。

免税事業者の方々の中にはすでに取引先などからインボイスの登録事業者になってほしいと依頼があった方もいるかと思います。
現在は免税事業者でもインボイスの登録事業者になると、消費税の納税義務が発生します。
このように今まで自分は消費税とは関係がないと思っていた方ほど影響を受ける改正です。
しかし、11月にインボイス制度について2つの緩和措置についての報道がありました。

今回はその緩和措置についてお話したいと思います。
その前にまず、消費税の計算方法について簡単に説明したいと思います。

 

計算方法は現在の場合でもインボイス制度開始後でもどちらの場合でも、受け取った消費税から支払った消費税を控除した差額が消費税として納税する金額となります。ただ、インボイス制度開始後では、登録事業者に対して支払った消費税のみが控除対象の支払消費税額となります。

 

●現在の消費税計算方法
 売上で受け取ったの消費税 - 経費などで支払った消費税 = 申告額
 例)受け取った消費税:1,000万円
   支払った消費税 :600万円
   消費税納税額  :400万円

 

●インボイス制度開始後の消費税計算方法
 売上で受け取った消費税 - 登録事業者に対して支払った消費税 = 申告額
 例)受け取った消費税:1,000万円
   支払った消費税 :600万円(内登録事業者への支払消費税:450万円)
   消費税納税額  :550万円

 

今回報道のあった緩和措置は以下の2つです。

①1万円未満の取引ならインボイスなしでも仕入控除の対象になる
②小規模事業主なら納税額は「売上税額の2割」が上限となる

 

①1万円未満の取引ならインボイスなしでも仕入控除の対象になる
 インボイス制度開始後、3万円未満の公共交通機関(バスや鉄道)の運送や自動販売機などで購入した場合など限定的に定められたもの以外の支払いについては、インボイスの保管が消費税控除の対象となる絶対条件となります。
 しかし今回の緩和措置が導入されれば、1万円未満の購入額についてはインボイスがなくても消費税の控除ができることになります。
 ただし、この措置は課税売上高が年間1億円以下の事業者限定です。

 

②小規模事業主なら納税額は「売上税額の2割」が上限となる
 この措置は現在免税事業者である課税売上高1,000万円以下の事業者に対するものです。
 免税事業者から課税事業者となる場合、令和5年10月から3年間のみ納税額の上限は 売上税額×20% で良いとすることが検討されています。

 

この2つの措置が実際に来年の10月からのインボイス制度導入と同時に導入されるなら、現在の免税事業者はもちろん、課税売上高年間一億円以下の事業者にとっても嬉しい緩和措置となります。
ただあくまでも緩和措置ですので、期間が終わってしまうと小規模事業者も他の事業者と同様に消費税の計算をしなければなりません。

 

今回の緩和措置もそうですが、電子帳簿保存法改正が2年間の猶予期間ができたように、インボイス制度も導入されるまでにもう少し動きがあるかもしれません。
私としては、事業者にとってなるべく業務の負担がないような制度となってほしいものです。

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