物価上昇に対応する賃上げが節税対策に!

私たちの身の回りで値上げが相次いでいます。
原油高や原材料高に加えて、ロシアによるウクライナ侵攻や円安も響いており、家計への影響は計り知れません。
6月から大手電力7社による家庭向け電気料金が値上げされることが確定されてしまいました。
夏に向けて電気を使うことが増えるのに大きな痛手です。

 

値上げされると出費がどうしても増えてしまいます。
給与を上げてもらえると対策ができるのですが、雇用する側も簡単には上げられないのが現状だと思います。

 

ただ、企業も頑張っているのです。
日本経済新聞社がまとめた2023年の賃金動向調査で、定期昇給とベースアップを合わせた平均賃上げ率は前年比1.54ポイント高い3.89%だったようです。
31年ぶりの高水準です。

 

しかも大企業だけじゃないんです。
5月10日に発表された2023年春闘の集計結果によると、300人未満の中小企業の賃上げ率は、前年同期比1.33ポイント増の3.35%でした。物価上昇に対応する高い賃上げが広がっています。

基本給を底上げするベースアップと定期昇給分を合わせた中小企業の賃上げ額は平均8,328円で、前年同期よりも約3,300円高くなっております。大手を含む全体の賃上げ率は、1.57ポイント増の3.67%でした。
賃上げは、大企業に比べて、余力に乏しいとされる中小にも波及しており、最終的には1993年以来、30年ぶりの高水準となりそうです。

 

そこで頑張ってお給料をあげてくれた企業に、税額が控除される制度があります。
『賃上げ促進税制』です。
こちらでは中小企業向けのご案内をいたします。

 

決算時等にご説明することもございました、以前の所得拡大促進税制の名称が変わりました。
令和4年4月1日以降開始の事業年度が対象となります。
この5月で決算申告を行う、令和5年3月決算の法人が初めの対象となります。

中小企業向け賃上げ促進税制の概要は、中小企業者等が前年度より給与等を増加させた場合に、その増加額の一部を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度です。

 

詳しいご案内は、こちらをご覧ください。
中小企業庁HP
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/syotokukakudai.html

 

・対象となる中小企業者等
青色申告書を提出する者のうち、以下に該当するものを指します。

(1)以下のいずれかに該当する法人(ただし前事業年度の所得金額の平均額が15億円を超える法人は本税制適用の対象外など該当しない法人もございます。)
1.資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人
2.資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
(2)常時使用する従業員数が1,000人以下の個人事業主
(3)協同組合等

 

・制度の概要

適用要件                  税額控除
【通常要件】 雇用者給与等支給額が前年度と比べて  ⇒  控除対象雇用者給与等支給増加額の15%を
1.5%以上増加                法人税額又は所得税額から控除

【上乗せ要件1】 雇用者給与等支給額が前年度と比べて  ⇒  税額控除率を15%上乗せ
2.5%以上増加

【上乗せ要件2】 教育訓練費の額が前年度と比べて    ⇒  税額控除率を10%上乗せ
10%以上増加

 

 

・令和4年度改正による主な変更点
(1)上乗せ要件を簡素化&控除率引き上げ(控除率最大40%)
(2)教育訓練費増加要件に係る明細書の「添付義務」を「保存義務」へ変更
(3)経営力向上要件は廃止

 

今までの旧制度との違いは、上乗せ要件が変わりました。
以前は雇用者給与等支給額が前年度と比べて2.5%以上増加しており、かつ教育訓練費の額が前年度と比べて10%以上増加していること等が必要でしたが、上記の上乗せ要件1と2が別々になりました。
雇用者給与等支給額が前年度と比べて2.5%以上増加した場合は、控除率が30%となります。

 

計算もとてもわかりやすくなりました。
企業によっては資金を優先するところが違うと思いますが、なんとか資金をご用意いただいて、従業員に還元してもらえると良いサイクルが出来ていくのではないでしょうか。
この他にも弊法人でお手伝いできることがたくさんありますので、お気軽にご相談ください。

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