2020 税制改正大綱から 近い未来を想像してみませんか?

新年最初のトピックは、毎年恒例の「税制改正大綱」です。
 
 
「税制改正大綱」は、毎年年末に閣議決定される、翌年の増税・減税・新税の導入などをまとめた文書。
 
どんな優遇措置が出るのか、はたまた見直しがかかるのかが注目されます。
 
 
今回の法人課税は、中小企業にとってすぐに使えるもの、というよりも、長期的な経済戦略に基づくものや大企業の増税に繋がるものが主でした。
 
 
目先の税制もそうですが、長期的な視点をもつことも有用かもしれません。
 
年の始め、大綱から近い未来を想像してみませんか?
 
 
 
【法人課税・目玉措置】
 
◆オープンイノベーションに係る措置
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事業会社から一定のベンチャー企業に対する出資について、
その 25%相当額の所得控除ができる措置を創設する。
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「オープンイノベーション」がそもそもピンときませんね。笑
 
国際的なイノベーション競争が激しくなる中、日本企業に馴染みのある「ヒト・モノ・カネ」で動かしてきた従来のやり方は、スピード、コストともに競争力を失っています。
 
 
政府が目指しているのは、人材・技術・資金を自社ではなくベンチャー企業と開放的(オープン)に連携して、新規事業や新製品開発のスピードをあげること。
 
 
そのために、外部(ベンチャー)への投資を優遇しましょうという内容です。
 
中小企業の場合は1000万円以上の出資が対象です。
 
 
 
◆5G 導入促進税制
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超高速・大容量通信を実現する全国5G基地局の前倒し整備
及びローカル5Gの整備に係る一定の投資について、
税額控除(15%)又は特別償却(30%)ができる措置を創設する。
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5G・・・これまたピンときませんね。笑
 
なんとなーく通信速度がはやいイメージはあるかもしれません。
 
 
5Gは第5世代のネットワーク。
 
今のネット環境で不便はない、と思われるかもしれませんが、昨今話題のVR、AIや自動運転といった新しい技術が社会のインフラになるまで成熟するには必要不可欠。
 
 
確かに、電話回線でトゥルルルルーとネットに繋いでいた時代は、Youtubeの動画視聴なんて考えられませんでしたよね。
 
 
基地局は通信会社向けですが、ローカル5Gは、5Gのサービス開始を待てない企業がプライベートな5G環境をもつことを促進するもの。
 
 
スマート工場やスマート農業、建築・建設のスマート化、自動運転車、スマート物流等の研究開発が進んでいき、それを利用したビジネスの可能性も広がっていくのではないでしょうか。
 
 
 
【法人課税・地方再生関連】
 
◆地方拠点強化税制の見直し
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地方拠点強化税制における雇用促進に係る措置について、
移転型事業の上乗せ措置における雇用者1人当たりの税額控除額を
3年間で最大 120 万円(現行:90 万円)に拡充する。
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◆地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の見直し
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地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)について、
手続の抜本的な簡素化・迅速化を図るほか、
税額控除割合を現行の3割から6割に引き上げる。
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現行の施策を推し進めるための拡充(減税)ですが、それでも止まらない、東京一極集中。
 
最初にご紹介した技術革新により、地方でのライフスタイルがより魅力的、現実的になっていくことも願いたいです。
 
 
 
【消費課税】
 
◆居住用賃貸建物の取得に係る消費税の仕入税額控除制度の見直し
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居住用賃貸建物の課税仕入れについては、
仕入税額控除制度の適用を認めないこととする。
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繰り返される消費税還付を狙うスキーム対策です。
 
 
本来非課税の売上に対応する仕入れは仕入税額控除できないのですが、金地金の売買反復をすることで、仕入税額控除ができ還付を受けることが出来てしまうためです。
 
 
本件以外にも、国際的な租税回避・脱税への対応など、過度な節税に対する規制への気運が高まっているのを感じます。
 
 
 
 
◆ 消費税の申告期限の延長
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法人税の申告期限の延長の特例の適用を受ける法人について、
消費税の申告期限を1月延長する特例を創設する。
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現在、法人税の申告期限は申請により延長ができますが、消費税は認められておらず、消費税の申告後に決算額の変動が生じて修正申告が必要になるケースもあり、その是正です。
 
 
該当される方は是非、ご活用いただければと思います。
 
 
 
【おまけ】
 
◆ゴルフ場利用税(消費課税)
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国体やオリンピック出場選手が
試合や練習で使う際の利用税を非課税に。
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一見、資金力のある選手だけがなぜ?と思ってしまいますが、そもそもプレーに税金を支払うスポーツは類がありません。
 
 
娯楽施設利用税の名残でゴルフ場だけがお金持ちのスポーツとして担税力があるとされ残ってしまった背景があります。
 
 
スポーツ団体は全廃を希望しつつも、しがらみが多く、オリンピックをとっかかりに非課税枠の拡大を狙った結果のようです。
 
 
 
◆オリンピック報償金(個人所得課税)
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オリンピックでメダルを取るなどして団体から
報償金が出た場合の非課税限度額を引き上げ。
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オリンピックイヤーならではですね。
 
是非がんばってほしいです!
 

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