会社にとっての定款とは?設立に必須となる定款の重要性や記載事項について

会社を立ち上げるためには「定款(ていかん)」を作成しなければなりません。どんな会社を立ち上げるときでも、どんなビジネスを始める場合でも、定款を欠かすことはできません。そしていったん作成した定款はその後も会社運営に大きな影響を与え、社員や従業員、役員に対してもその効力を発揮し続けます。

当記事ではこの定款に着目し、具体的な内容を見ていきます。どのような意味で重要とされるのか、どのようなことが記載されるのかを紹介します。

 

 

定款とは

定款は会社にとっての自治規範として機能するものであり、「会社の憲法」と説明されることもあります。

 

自治規範、社内ルールにあたるものとしては就業規則などその他さまざまな社内規程も挙げられますが、定款はこれらと一線を画す存在です。組織の最上位に位置する規範といえ、就業規則などの社内規程も定款に反した内容になってはいけません。

 

定款の重要性は、①会社の機関設計や基本情報を決定づけること、②役員の権限に制約を設けて株主の利益を守ること、③会社の運営に関わる重要なルールを定められること、などから説明ができます。

 

社名などが確定するのも定款に「商号」として記載するからであり、また、大きな権限を持つ役員に対しても任期を短く設定したり、株主が有利になるような規定を置いたりすることも定款なら可能です。さらに、株主総会の開催にかかるルールなど、定款でなくては定めることのできない運営上のルールもあります。

 

 

会社設立には欠かせない存在

会社法では次のように定款の必要性を明記しています。

 

株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。

引用:e-Gov法令検索 会社法第26条第1項

 

法律上、定款がなければ会社を設立できないことが定められています。作成した定款が無効なものであったと発覚したとき、会社設立がなかったものとして扱われるおそれがあることも覚えておきましょう。

 

なお、「発起人(ほっきにん)」とは設立手続を進める起業者自身のことです。複数人の発起人が一緒になって会社設立することもできますが、作成する定款に関してその全員の同意が求められています。

 

 

定款の内容

定款にはさまざまな事項を定めることができます。どのような規定を置くのかは、会社法に反しない限り、基本的には発起人の自由です。

 

ただし、会社の基本的な情報など必ず記載しなければならない事項がありますし、設立手続に関する特定の事項についてもその効力を生じさせるために記載が必要です。

 

他にも、会社の機関、株式の取り扱い方法、役員に対する規制など多様な規定を置くことができます。

 

 

会社の基本的な情報

会社設立時は、まず「絶対的記載事項」の定めを置きましょう。これは定款への記載が法律上必須とされている事項であり、その事項を1つでも欠いている場合は定款全体が無効になってしまいます。

 

会社法第27条に定められている絶対的記載事項は下表の通りです。

 

絶対的記載事項 要点
目的 事業内容を指す。目的を1つに絞る必要はなく、複数の事業内容を列挙する例が多い。

許認可が必要な事業を始める場合は記載方法に注意が必要。

商号 会社名を指す。好きな会社名を付けることができるが、株式会社であれば少なくとも「株式会社」の文言を付ける必要がある。

一部使えない文字や記号があることに注意。

本店の所在地 会社の住所を指す。最小行政区画までの記載にとどめるのが通例。そうすることで、その範囲内であれば引っ越しをしても定款変更する手間がかからなくて済む。
設立に際して出資される財産の価額又はその最低額 出資額を指す。定款に記載するときは、資本金の額や発行株式数などもまとめて記載する例が多い。
発起人の氏名又は名称及び住所 発起人の名前(法人が発起人になる場合はその名称)と住所を記載する。株式の引受数もまとめて記載する例が多い。

 

さらに、「発行可能株式総数」も会社設立までに定める必要があります。この規定を慎重に考える必要があるのは主に、株式譲渡が自由にできる公開会社です。公開会社では株式の希薄化に制限をかけて既存株主の権利を守るため、発行可能株式総数の定め方について特定のルールが適用されます。
次のバランスが保たれるよう、設立時発行株式総数の4倍以下に発行可能株式総数は抑えなければなりません。要は、発行できる余裕を多く持ちすぎないようにするということです。

 

発行可能株式総数 ≦ 設立時発行株式総数×4

 

 

設立手続に関する事項

会社に関係するすべてのルールを定款に記載する必要はありません。定款でなくとも効力は生じますし、単なる社内規程として規定するほうが手続も簡単です。しかし、定款への記載がなければ無効になってしまう重要事項もあります。これは定款の「相対的記載事項」と呼ばれます。

 

相対的記載事項のうち、設立手続に関する「変態設立事項」というものもあります。会社設立時はこれに該当する次の4つに留意しましょう。

 

4つの変態設立事項
現物出資 金銭での出資が原則であるが、発起人であれば物の出資でこれに替えることができる。ただし定款への記載が必要とされる。
財産引受 会社設立前に、発起人が特定の財産を買い受ける契約を交わすことがある。この契約は開業準備行為として発起人に効果が帰属するが、定款への記載によりこの財産引受を設立後の会社に帰属させることができる。
発起人の受ける報酬・
特別受益
会社設立という仕事に務めた発起人への対価、利益を記載する。
設立費用 会社を設立するために負担した費用を設立後の会社に請求するために定款に記載する。これにより発起人は会社に対して費用の請求が可能となる。

 

 

会社の機関

定款に定めることで会社の機関設計ができます。機関とは「株主総会」や「取締役」などのことです。株式会社によくある機関としては次の4つが挙げられます。

 

4つの主な機関とその役割
株主総会 株式会社の最高意思決定機関であり、必置の機関。

会社の基本的な方針決定、取締役の選任や定款変更などの重要事項を承認する権限を持つ。

取締役 株式会社の経営を担う機関であり、必置の機関。

会社から委任を受け、経営のために必要な業務を行う。

取締役会 複数の取締役から構成される、経営方針の決定機関。

取締役間の意思疎通を図り、重要な経営施策について話し合うために機能する。

監査役 取締役に間違った行為がないかどうかをチェックする機関。

経営状況を監査し、株主の利益保護や適切な会社運営を図る役員。

 

他にも監査役会や会計参与、会計監査人などの機関も定款により置くことができます。

 

 

株式の取り扱い方法

株式会社の場合、株式に関するルールも定款に置くことになります。株式に関わるあらゆるルール、取り扱い方法の詳細まで定款に記載する必要はありませんが、重要な部分は定款で規定しないといけません。

 

「株式の譲渡制限」の規定がその代表例です。

 

株式は原則として自由に譲渡をすることができるのですが、そうすると関係性のない人物が経営に参画することとなり、中小企業にとって好ましくない状況が生まれるおそれもあります。

 

そこで定款にて、株式の譲渡を許可制にしている会社が多く存在しています。家族経営や仲間内だけで株式会社の運営をしているのであれば、この規定を置くことも検討しましょう。ただし制限のかかった状態だと広く出資を募ることはできません。

 

その他株式に関するルールとして次のような事項が挙げられます。

 

  • ● 株式の分割や併合、消却に関する事項
  • ● 株式の種類に関する事項
  • ● 株式の配当に関する事項
  • ● 株式の買取請求に関する事項 など

 

 

役員に対する規制など

役員、特に取締役は社内で大きな権限を持つ存在です。形式上は会社から経営という仕事の委任を受けた人物であり、「取締役=株主=会社の所有者」の関係性が成り立つとは限りません。

 

そこで「取締役≠株主」の関係であるとき、取締役がその権限を不正に行使することで株主の利益が害される危険性もあります。こうしたリスクを少しでも排除するため、定款で役員に対する規制をかけることも可能となっています。

 

例えば次のような事項です。

 

  • ● 役員の任期に関する事項
  • ● 役員の報酬に関する事項
  • ● 役員の選解任に関する事項
  • ● 役員の責任に関する事項 など

 

さまざまな規定により「いったん取締役として就任すれば会社を自由に支配できる」といった事態を避けられるようになっています。

 

 

会社設立時の定款作成の流れ

会社の立ち上げに伴い定款を作成するときは、まず、発起人を決める必要があります。発起人となる人物はただ設立手続に関わっただけでなく、定款に発起人として記載された人物です。
なお、法人が発起人になることもできます。

 

続いて、定款に記載する内容を発起人全員で検討します。目的や商号などの絶対的記載事項はもちろん、これから予定する事業の内容や今後の組織の在り方を勘案して詳細を考えていく必要があります。

 

こうして定款が作成できれば、株式会社の場合は次に「公証人による認証」が必要です。これは設立時にのみ必要な手続で、公証人という法律のプロに内容をチェックしてもらうことになります。定款の無効により会社が不存在になってしまい、利害関係者に被害が及ぶことを防ぐためです。

 

定款は設立後に変更することもできますので、設立段階から遠い将来を見越した詳細な設計を行う必要はありません。ただし変更手続には手間がかかりますし、株主が増えてくると変更を認めてもらう難易度も高くなってしまう点に注意し、定款作成に取り掛かることが大切です。

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