2018年12月に政府や新聞の発表で周知された通り、ミャンマーでは商業税や法人所得税の予納および四半期申告の期限に関し、今後、厳格化の方向性が予想される。商業税については、以前から、毎月翌月10日までの予納および四半期ごとの申告(申告期限は翌月末)、法人所得税については四半期申告および納付(申告および納付期限は翌月末)が義務となっていた。
ミャンマーでは、これまでにも何度かこのような発表は行われてきたが、期末以外に行う期中の予納や四半期予納申告の遅れに対する罰金の徹底的な適用までには至っていなかった。しかし今後は、毎期限に遅れて商業税の予納を行ったり、利益が出ているにもかかわらず、法人所得税の四半期申告を怠ったりしていると、罰金が科されるといった事態も予測される。
新聞などでの発表の内容
新聞などで大きくアナウンスされた内容は、下記の通り。
(1) 商業税および特別物品税の四半期申告提出に関する通知
(2) 商業税および特別物品税の毎月納付に関する通知
(3) 法人所得税の四半期申告および予納に関する通知
・問い合わせ先について、大規模納税者税務署(Large Tax payer Office:LTO)および中規模納税者税務署(Medium Tax payer Office:MTO)1~3、タウンシップの税務署その他としている。
・申告書サンプルについては、当局のウェブサイトhttp://www.irdmyanmar.gov.mm/ で取得可能。
上記(1)~(3)共に、期限内に申告または納付を行っていない場合には、本税の他に10%の延滞税を課す旨を明記した内容となっている。2018年夏に行われたMTO2主催の申告納税説明会においても、上席の担当官から「今後は、納付書の期限もしっかり見ていきますよ」といった発言もあった。これまで、納税者側がいくら早めに納税したくても、税務署に納付書を発行してもらわないと納税できないといった事情があった。このため、結果的に期限までに納税できないという事例が散見されていた。今後はMTO2においてもLTO同様に申告納税制度が徹底されていけば、自社で納付書を作成し、納付を行うことが可能となるため、期限の厳守は必須となってくると思われる。MTO2所轄の会社であったとしても、今のうちから毎月納付期限および四半期申告期限の厳守を徹底していきたいところである。
また「ミャンマー:掛取引に関する商業税の相殺についての通達【最新版意訳】」(2018年11月29日付掲載)で同年10月の通達について触れた通り、商業税の相殺について、掛仕入れで未払いであるものに係る商業税や在庫に係る商業税については、支払いを行うまで、または販売するまで、売り上げに係る相殺を行うことができない。商業税の納付や控除について、少しずつ運用が明らかになってきているが、過大納付については、還付を受けることができないとの記載もある。今後より一層、適正な納付申告が求められる状況が予想されるため、慎重に納税業務を行っていくことが大切であろう。