2022年税制改正大綱~ポストコロナを見据えた税制改正について~

今回も、昨年12月に行われた税制改正大綱に関するトピックです。
前回は、個人所得課税に関する「住宅ローン控除」をご紹介させていただきましたが、今回は「法人課税」に関して気になった部分をピックアップしてご紹介いたします!

所得拡大促進税制の改正
法人課税の目玉はなんといっても、「所得拡大促進税制」の改正ではないでしょうか。岸田首相は、内閣発足時より、世界の物価上昇から日本経済を守るためにも、「賃上げ」に全力で取り組む姿勢を示していました。その姿勢が今回の税制大綱で反映された形となりました。

今回の改正では適用期限が1年延長され、また給与支給額の増加率に応じて最大控除額が40%(法人税額の20%が限度額)へと拡充されました。

●改正前
【適用要件】
 継続雇用者給与等支給額が前年より1.5%増加
  →継続雇用者給与等支給増加額×15%控除

【上乗せ加算】
 ①及び②を満たす場合、10%加算
  ①継続雇用者給与等支給額が前年より2.5%増加
  ②教育訓練費の10%以上増加または中小企業等経営強化法の経営力[pcbr]   向上計画の認定を受け、その計画に従って経営力向上が確実に[pcbr]   行われたものとして証明されること

適用要件と上乗せ加算どちらも満たすと、最大で給与等支給増加額の25%控除。

●改正後
【適用要件】
 変更なし

【上乗せ加算】
 ①継続雇用者給与等支給額が前年より2.5%増加
  →15%加算

 ②教育訓練費が前年比10%以上増加
  →10%加算

適用要件と上乗せ加算をすべて満たすと、最大で給与等支給増加額の40%控除。加算要件がアンド条件ではなくなったことで、比較的容易に上乗せ措置の適用を受けることが出来るようになりました。

 

こちらの改正は令和4年4月1日から令和6年3月31日までに始まる事業年度が対象となります。

◆オープンイノベーション促進税制の見直しと延長
昨年度の税制大綱の目玉措置であった、「オープンイノベーションに係る措置」が見直されました。第192回(2020年1月10日発行)の弊社メルマガでもご紹介させていただきましたが、オープンイノベーションとは、「人材・技術・資金を自社ではなくベンチャー企業と開放的(オープン)に連携して、新規事業や新製品開発のスピードをあげる」ことです。

昨年度の税制大綱では、設立10年未満のスタートアップ企業の株式を取得する場合、その取得価額の25%を課税所得から控除となる制度でした。

●改正後
出資を受けるスタートアップ企業のうち、売上高に占める研究開発費の割合が10%以上の赤字の会社については、期間要件が、設立15年未満へと延長。対象となる株式の保有期間が3年に短縮されました。

◆適用期限の延長・見直しについて

1.交際費等の損金不算入制度、及び、接待飲食費に係る損金算入の特例
 →適用期限を2年延長

2.30万円未満の少額減価償却資産の全額損金算入の特例
 →適用期限を2年延長

3.電子帳簿保存法の施行
 →2022年1月より施行でしたが、2年の猶予期間の設定
 当面、紙での印刷保存も可能ですが、電子化への対応は必須ですので、今後に向けて、猶予期間で徐々に電子化を進めていくのが良いかと思います。

以上、気になった点をピックアップさせていただきました。


今回の法人課税の税制改正大綱では、新しい制度の導入というよりは、現在ある制度の改正が主でした。
「成長と分配の好循環」、「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトに、積極的に賃上げを行う会社、マルチステークホルダーに配慮した経営に取り組む企業に対し、税制上の措置を強化した改正となっていました。ポストコロナを見据え、より多くの企業の事業継続や、新たな成長の挑戦につながる改正となることを期待したいと思います。

 

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