何が変わる?どう変わる? ~税制大綱2019 法人課税のご紹介~

昨年12月14日に自民・公明両党から税制大綱が発表されました。
 
前回は、個人所得課税・資産課税に関する主なものをご紹介させていただきましたが、今回は、法人課税についてピックアップしてご紹介いたします。
 
 
 
【法人課税】
 
1.イノベーション促進のための研究開発税制の見直し
 
 研究開発税制は、国内の成長力と国際競争力の強化を目的に、青色申告法人が試験研究費として支出した費用の一部を、その事業年度の法人税額から控除することを認める制度です。今回の税制改正により、研究開発を行う一定のベンチャー企業(注)の控除税額の上限を当期の法人税額の25%から40%に引き上げます。
 
  (注)一定のベンチャー企業とは、設立後10年以内の法人のうち当期において翌期繰越欠損金額を有するもの(大法人の子会社等を除く。)をいう。
 
 
 
2.中堅・中小・小規模事業者の支援
 
 (1) 中小企業者等の法人税の軽減税率の特例 → 2年延長(平成33年3月31日まで)
 
        年間800万円以下の所得金額に対する税率が19%から15%に軽減されていますが、この特例が2年延長されます。
 
 
 (2) 中小企業投資促進税制 → 2年延長(平成33年3月31日まで)
 
      中小企業者が生産性向上等を図るため、一定の設備投資を行った場合に、その事業の用に供した日を含む事業年度において、特別償却(30%)または、税額控除(注)(7%)の適用を認める措置が2年延長されます。
 
   (注)税額控除は資本金3,000万円の中小企業者等に限る。
 
 
  対象設備:機械装置         1台160万円以上
       測定工具及び検査工具 1台120万円以上、
                                                                 1台30万円以上かつ複数合計120万円以上
       一定のソフトウェア  一のソフトウェアが70万以上、複数合計70万円以上
       貨物自動車(車両総重量3.5トン以上)
       内航船舶    (取得価額の75%が対象)
 
 
 (3) 中小企業経営強化税制 → 2年延長(平成33年3月31日まで)
 
  中小企業の稼ぐ力を向上させる取組を支援するため、中小企業経営強化法上の「経営力向上計画」に基づく設備投資について、即時償却及び税額控除(10%)のいずれかを認める措置が2年延長されます。
 
   対象設備:機械装置     1台160万円以上
        工具器具備品   1台30万円以上
        建物付属設備  一の取得価額が60万円以上
        ソフトウェア  一の取得価額が70万円以上
 
 
 (4) 各租税特別措置等におけるみなし大企業の範囲の見直し
 
  租税特別措置法の中小企業者向けの優遇税制の摘要を受けるには、資本金の額が1億円以下、従業員数が1,000人以下の要件を満たす必要がありますが、下記の場合は、「みなし大企業」とされ、中小企業者向けの優遇税制を受けることは出来ません。
        さらに今回の税制改正により、①②が追加されます。
 
  現行:措置法のみなし大企業
 
  ・同一の大規模法人に発行済株式(注)の1/2以上を直接保有されている資本金1億円以下の法人
 
  ・複数の大規模法人に発行済株式(注)の2/3以上を直接に保有されている資本金1億円以下の法人
 
  ・大規模法人(資本金1送円超の法人、非出資で従業員数1,000人超の法人)
 
   今回の改正により下記のものが追加され、この要件を満たす法人についてもみなし大企業となり、優遇税制を受けることは出来ません。
 
   ① 大法人(注)の100%子法人
 
   ② 100%グループ内の複数の大法人に発行済株式または出資の全部を保有されている法人
 
    (注)大法人とは資本金の額もしくは出資金の額が5億円以上である法人、相互会社もしくは外国相互会社または受託法人をいう。
 
 
       <租税特別措置法の優遇税制>
 
     ・少額減価償却資産の特例
     ・試験研究費の税額控除の特例
     ・所得拡大促進税制の特例
     ・雇用促進税制の特例
     ・中小企業投資促進税制
     ・中小企業経営強化税制
     ・商業・サービス業・農林水産業活性化税制
 
 
 
3.都市・地方の持続可能な発展のための地方税体系の構築
 
 (1) 法人事業税の税率の改正
 
   法人事業税の標準税率が、平成31年10月1日以後に開始する事業年度から下記の通りに改正されるとともに、国税である特別法人事業税(仮称)が導入されます。
 
   1億円超資本金   改正前  改正後
        400万円以下  1.9% → 0.4%
        800万円以下  2.7% → 0.7%
        800万円超   3.6% → 1.0%
 
 
   1億円以下資本金
      400万円以下   5.0% → 3.5%
         800万円以下   7.3% → 5.3%
       800万円超   9.6% → 7.0%
 
  法人事業税率は下がりますが、、代わりに特別法人事業税の創設があるため、減税とは言えません。
 
 
 (2) 特別法人事業譲与税(仮称)の創設
 
   特別法人事業譲与税は、特別法人事業税の収入額を、使途を限定しない一般財源として都道府県へ譲与されます。
 
 
 
 
 
以上、全てではございませんが、気になるところをピックアップさせていただきました。
 
今年も皆様のためになる情報を発信してまいりたいと思います。
 
ここをもう少し詳しく聞きたいなどございましたら、お気軽にお問合せ下さいませ。

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